春奈-クラスメート-part2/少女たちの溝
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が左端か右端か意見が分かれたが、サイトが真ん中でルイズとハルナが両サイドを占めることでほとぼりが収まった。
就寝時間の直前の頃だった。サイトは厨房にて、何やら妙にとげとげしさを感じるシエスタに賄いをいただいて腹を膨れさせた。なぜかこの日の料理は、辛かったので、何杯水を飲んだのかわからないくらい飲んで腹を壊しかけた。
『うふ…ぅ…』
『おいおい、大丈夫かサイト?まるで腹に岩を詰め過ぎたレッドキングみてーなフラつきっぷりだぜ』
どんなたとえだよ…とサイトは、気を遣ってきたゼロに突っ込みを入れたくなる。
ふと、サイトは広場の方に人影を見かけた。夜風に、長くてきれいな黒髪が靡いている。間違いない、ハルナだ。一体こんな時間に一人で中庭に出て何をしているのだろうか。
「高凪さん?」
「…あ、平賀君」
駆け寄って声をかけると、彼女はサイトの方を振り向いた。すぐに頭上を見上げると、彼女はサイトの名前を呼ぶ。
「ねえ、平賀君。私が何をしてたかわかる?」
「それは…」
彼女の、さっきの視線の先に見えたもの…そして、彼女の状況とかつての自分の状況を照らし合わせて、サイトは言い当ててみた。
「夜空を見てたんだろ?」
「すごい、なんで平賀君わかったの?」
「俺も、この世界に来たばかりの頃もそうだったから」
どうやら当たったようだ。サイトもルイズの部屋から、二つの赤と青の月を見上げていたことがよくあった。地球ではない、異なる世界に来てしまったのだと。
「ずっと科学の凝った日常にいたから、いきなりファンタジーな世界に来て不安になって…平賀君が持ってた喋る剣とか、キュルケさんたちがためしに見せてくれた魔法とか…それに、この赤と青の月…。あの二つの月を見て、それを知った時思ったの。ああ、本当にここは地球じゃないんだ。別の世界なんだって」
そういえば、学院に戻るまでの間キュルケたちが魔法をみせてあげたり、話しかけてきたデルフを見てびっくりしてたっけ、とサイトは思う。剣が意思を持って喋るなんて確かに、地球じゃありえない話だしな…。
「俺も、ここに来たばかりの時、同じことを思ったよ」
「そうなんだ…」
どこまでも同じことを考えていたことに、思わずサイトとハルナは互いに笑いあった。笑いが収まると、ハルナはサイトに近づいて彼の手を握った。急に手を握られて、サイトはドキッとしてしまう。思い起こせば、地球にいた時からそうだった。彼女は自分をこうやって惑わせてしまう。時折、いつも怒ってばかりなのに優しいところやかわいいところを見せてこちらをドキドキさせるルイズのように。
「た、高凪さん…!?」
「…平賀君。あなたがいなくなってから、私…本当に寂しかった」
伏し目がちに、ハルナは押し殺すように言った。
「学校に行ってもいつもの席に平賀君がいなくて、きっと明日な
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