8部分:第八章
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そうするのじゃよ」
神主の言葉ではこうだった。
「これでわかったな。まずは自分から手を叩いてな」
「はい」
「手のなる方へと言って誘う」
実際に手を使って叩く仕草さえ見せる。
「それで捕まえてもらえたらいいのじゃよ」
「わかりました。それじゃあ」
「やらせてもらいます」
「ねえ須美」
ここで恭子が須美に声をかけた。
「何?」
「それが遊びなのね。神主さんが仰ってた」
「そうみたいね」
須美は恭子のその言葉に頷く。
「どうやら」
「何かって思ったら随分変な遊びだけれど」
「変って言えば変ね」
これは恭子も頷くのだった。
「まさかこんなことするなんてね」
「思いも寄らなかったけれど。まあ」
「やりましょう」
「何か面白そうだし」
須美もまた言ってきた。
「うきうきした感じになってきたわ」
「そうね」
こんな感じで遊びに入る。女の子達は早速それぞれ手を叩いて誘うのであった。
「鬼さん鬼さん」
「手のなる方へ」
恭子もその中にいた。楽しげに笑いながら女の子を誘う。
「鬼さん鬼さん」
誘うその顔は笑っていた。
「手のなる方へ」
こう言って声をかけているその近くに目隠しをして歩いている女の子がいる。周囲に顔を向けることなく耳だけを頼りにしているようだった。その時々でくるりくるりと方向を変える。しかし目が見えないうえに声も一つではないのでどうしても誰かを捕まえることができない。そうして暫く時間が経った。
やがて女の子は恭子の前に来た。彼女はそれを見てここぞとばかりに声をかけた。
「鬼さん鬼さん」
これまで以上に手を叩いて。
「手のなる方へ」
こう誘うと女の子は恭子の方に近寄ってきた。そうして彼女の前に来て遂には。恭子を捕まえてしまったのであった。
「捕まったあ」
恭子は捕まった瞬間に実に楽しそうに声をあげた。
「まさかここで捕まっちゃうなんて」
「ほほほ、よかったのう」
神主は彼女が捕まったのを見て楽しそうに言ってきた。
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