結集-コンセントレイション- part2/愚者たちの侵略
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クロムウェルに問いただす。神聖皇帝の姿など、もう影も形もなかった。クロムウェルはゲンのプレッシャーに押され、恐怖に慄いて腰を抜かしていた。
「そ、そんな…!閣下が押し負けた…!?」
「閣下は始祖ブリミルから虚無を授かってたんだろ!?なのに、こんな貧乏くさい奴相手に…」
「も、もうだめだ!俺たちに勝ち目なんかないんだ!逃げろ!!」
レキシントン号の兵たちは、たった一度…ゲンがクロムウェルを押しのけただけで、自分たちの負けを悟ってしまった。レコンキスタの大半は王室に失望したために寝返った、または王室に味方を続けてもメリットがないと判断した者もいただろうが、クロムウェルの騙る虚無の力に、ただなびいただけの現金な者も少なくなかった。
「…」
それを見かね、シェフィールドはふう…と呆れたため息を漏らした。所詮無理のある虚言に惑わされ王家を裏切り、詐欺師に降るような連中だ。とはいえ、このままではクロムウェルの正体が明るみになってしまう。
シェフィールドは、手に奇妙な携帯端末のような箱を取り出した。すると、彼女の額に刻まれたルーンが、紫色の輝きを放ち始める。彼女は頭上にそれを掲げると、端末からはハルケギニアの道具とは思わせない音が聞こえた。
『バトルナイザー、モンスロード!!』
瞬間、端末から光り輝く札が射出された。その札は空に飛び立つと、一体の怪獣へと姿を変えた。その怪獣は、かなりやばい部類にあった。その怪獣は、ゲンにとって嫌な意味で縁のある怪獣だった。
その怪獣の名は『円盤生物シルバーブルーメ』。卑劣さと狡猾さはかの有名な『異次元人ヤプール』にも匹敵する侵略者『ブラック指令』が送った最初の刺客にして、ゲンにとっては防衛チームMACの仲間や恋人・友人たちの仇でもある怪獣。
シェフィールドは、クロムウェルの正体に関する秘密を守るため、口封じのために召喚した怪獣を用いて、レキシントン号を搭乗者全員もろとも破壊しようとしたのだ。
レキシントン号の頭上から、すべてを飲み込むようにシルバーブルーメが主以外誰一人逃がすまいとレキシントン号の船体に触手を巻きつけ、口を開けてきた。
「う、うああああああああああああ!!!」
絶望の断末魔が、レキシントン号のあちこちから響いた。すぐ眼前に真っ黄色のよだれが流れ落ちる悍ましい口が迫り、レキシントン号を飲み込もうとした。魔法の詠唱を行う余裕さえないし、長時間飛行できるほど『フライ』の魔法の効果はない。つまり、彼らに逃げ場は存在しない。飛び降りても空の露となり、飛び降りなくても悍ましい円盤生物の餌となる。
「ま、待ってくれ!シェフィールド『殿』!」
クロムウェルは、立ち去ろうとしているシェフィールドの姿を発見し、縋るように足元に寄ってきた。
「私はまだ死にたくない!折角国を手に入れたと言うのになぜこんな場所で死
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