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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
結集-コンセントレイション- part2/愚者たちの侵略
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ビムはホークを打ち落とすことも忘れ、ただ悶えた。
「な、なんだ!?あんな竜見たことないぞ!」
レキシントン号の甲板にいるレコンキスタ軍の兵たちに動揺が走っていた。
「な、何!我が軍には怪獣もついているのに…あんなちんけな玩具ごときに…!」
「一斉に魔法で落とせ!!」
アルビオン軍のメイジたちは火竜にまたがり、一斉にホーク3号に向けて魔法や竜のブレスを放ったが、ホーク3号の機動力は力強くて速い。小回りが効くものの、火力では圧倒的に劣る火竜ではとても追いつけなかった。近付こうとしても、ホーク3号の飛行の衝撃が取り囲もうとした竜騎士たちを吹き飛ばしてしまう。運よく直撃した魔法があったこともあるが、船体がほんのちょっと汚れた程度だった。
「そんな馬鹿な…何でできてるんだあの竜は!!?」



「あ、あれは…!」
森に避難していたタルブ村の村人たちは、空を飛んでいる飛行物体を凝視する。太陽の光に反射する、輝かしい鉄製の銀色のボディ。船体に刻まれた『TDF UH-3』の形式名。この世界の人間からすれば奇妙な形をした鳥の玩具にしか見えないかもしれない。だが、決してこれは玩具などではない。
「り、竜の羽衣だ!」
「信じられん!あんな鉄の塊が空を飛んでいるぞ!」
「まるで、銀色の流星だ!!」
かつてウルトラセブンと共に苦境を乗り越えてきたエリート、ウルトラ警備隊が使用し、『ビラ星人』をはじめとした数多の侵略者を打ち破ってきた戦闘兵器、ウルトラホーク3号が、ハルケギニアの大空を支配した時と言えた。
「見てよタバサ!あの竜の羽衣、怪獣にもダメージを与えてる!!」
「すごい…」
「流石はサイト!僕が認めた平民だ!」
三体もの怪獣たちをあしらうサイトのホークの操縦捌きは、皆の注目を集めていた。
「なんて威力だ…」
流石は対怪獣兵器。コルベールもホーク3号の火力に目を奪われていた…が、同時にどこか憂いているようでもあった。
「…」
空を飛ぶウルトラホーク3号の姿を、ゲンも傘帽子の下からじっと見ていた。周囲の皆が、ホーク3号に注目していたことを確認すると、彼は一人その場から気づかれることなく立ち去って行った。
シエスタもまた、もはや思い人も同然になっていたサイトが乗りこなすホーク3号のフライトをじっと見届けていた。
「…え?」
一瞬、シエスタは目を疑った。ほんのわずか、遠くの場所を飛んでいるのにサイトが乗っているコクピットの中が見えた。その一瞬のみの内部に見えた姿に、シエスタは目を疑った。赤いレンズの白いヘルメットに、グレーかかった軍服を着た、幼い頃に見たきりもう二度と見ることがなくなった…豪気かつ陽気な、そしてたった今見えた引き締まった横顔を表した男の姿が見えたような気がした。眼を擦って再確認した時には、すでにその姿は見えなくなった。
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