再起-リヴァイヴァー-part2/兆しと和解
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条約を結んでたった数日しか経っておらぬではありませんか!それを締結させた我らの方から破るなど破廉恥極まりない!!きっとこのハルケギニア中にアルビオンは悪名高い国として歴史に名を残すことになる!あなたはアルビオンの歴史に泥を塗るのですか!」
実際、腐るほどこの男は泥を塗ってきたとも思っていた。元は地方の司教、無欲であることが理想とされる聖職者にも関わらず、彼は『虚無の力』を後ろ盾に王権を潰して皇帝にまで上り詰めていた。
「軍人の君が私と議会の決定に逆らうのか?君はいつから政治家になったのかな?」
激昂するボーウッドに対し、クロムウェルは表情を変えないまま尋ねてきた。軍人の癖に、と言わんばかりのその言葉を聞くと、ボーウッドは何も言い返せなくなる。
「外交上の些細な経緯など、聖地をエルフから取り戻せば大して気に止めるものなどおるまい」
「些細ないきさつだと!!この…!!」
いい加減この男の自分勝手すぎる言い分にボーウッドは堪忍袋の緒が切れかけた。さっきは自分の軍人としての立場を思い出させる言葉を言ってきたクロムウェルだが、いつそのたがを外して飛びかかって、この男を成敗してやりたいとボーウッドは思った。
「それに君は、こうしてかつての上官が我らとともにあるにも関わらず、そのようなことを言えるのだろうか?」
「なに…!?」
かつての上官だと?
「付いてきておくれ。ワルド君たちはここの者たちを監督してくれたまえ」
「はっ」
ワルドたちにこの場を託し、クロムウェルはボーウッドについてくるように言った。
しばらく歩いて連れてこられたのか、街の…アルビオン大陸の地下にいつの間にか出来ていた、巨大な工房だった。
「これは…一体…」
ボーウッドは目を疑った。当たり前のように暮らしていた大地の地下にこんな場所があったとは考えたこともなかった。
元は天然の洞窟ではあるが、入口の向こうにはそこに巨大かつ精巧な、魔法文化の根強いハルケギニアのものとは思えない、全体的に機械で設計された秘密基地が広がっていたのだ。天井を伝うパイプ、途中に何度も見た格納庫の中に保管された、ジャンバードのような精巧な作りの船のようなもの。一体いつの間にこんなものを?
自分たちの歩く天井の渡り廊下の下にはいくつかの怪しげな半透明の緑色に染まった液体が溜め込まれた巨大なカプセルが置かれていた。しかもその中には、このハルケギニアにおいて恐ろしい存在として名を馳せることになった巨大生物たち…怪獣が何十…いや、とにかく数え切れない程の数が保管されていたのだ。
ボーウッドは計り知るよしもないその光景に言葉を失っていた。クロムウェルは歩みを止めず、渡り廊下を渡りながら奥へと進んでいった。
その先にあったのは、闘技場のような場所だった。中央の、地面をくり抜いた形のリングと自分たちの立ってい
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