再起-リヴァイヴァー-part2/兆しと和解
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にされ続けたという事実があるため、殆どのハルケギニア人がエルフの世界を見たことがない。
それでもボーウッドは、今このロサイスでこうしてレキシントン号を整備している技術が、エルフのものとはとても思えなかったのだ。レキシントン号だけではない。他の艦隊もいくつか整備…いや、改造を受けており、その方法がハルケギニアの常識的なそれとは離れている。切り裂くような金属音と火花がそれぞれの船体中に響き、全体的に木製が目立つレキシントン号らは、全体的に無骨な金属製のボディに覆われていく。いかなる手を使っても、貫かれない無敵の盾を全体的に隙間なく貼り付けているかのようだ。
思えば、アルビオン王室が隠し守り通してきた秘宝『始祖の方舟』…ジャンバードも、船体がハルケギニアのどこを探しても見つからないと思える程の超金属製の船体だった。一目見ると、とても空を飛ぶものとは思えないほど。しかし、あのワルドは空を飛ばして操り、王室を壊滅させてみせた。
恐ろしい。一応立場としては味方なのだが、その立場であろうともクロムウェルに、得体の知れないシェフィールドに対して恐怖さえ主覚えてしまう。
「ワルド君。もっと力を求める気はないかね?」
ふと、クロムウェルはワルドにあることを持ちかけてきた。
「力ですか?」
「君の魔法の力は確かに強い。だが、いかに優れたスクウェアメイジであろうと限界がいつしか訪れる。だが、これから訪れる部屋の先には、その限界さえも超えるための要素が備わっているのだよ」
「…いえ、遠慮しましょう」
クロムウェルはワルドを、何かしらの方法で強くしようと考えているのだろうか。しかしワルドは首を横に振って断った。
「無欲だな。君は。まあそれも一つの美徳とも見て取れるのだがね」
「そんなことはありません。これでも私は、世界で最も欲の深い男です」
「閣下、ひとつよろしいでしょうか。ロイヤル・ゾウリン号と…」
「その名前は旧名だ。今はロイヤル・ゾウリン(王権)ではない。レキシントン号だよ」
ニコやかな表情のまま訂正を求めてきたクロムウェル。一瞬訝しむような顔になったが、すぐ無表情になったボーウッドは艦の名前を訂正し、質問を続けた。
「…レキシントン号をあそこまで改良する必要があるのでしょうか。それに、先日はトリステインとの不可侵条約を結んだばかり。これでは他国に対して…」
「ああ、君には話していなかったね。トリステインへの『親善訪問』の概要を」
ボーウッドは内心うんざりしたくてたまらなかった。この男は新皇帝を名乗っているが、とてもそれらしく堂々とした手口よりも、影で陰謀を郎する方が似合いそうな陰険な男と見えた。
「トリステインとの条約を破るのだよ」
笑ったまま、さらりと言ってのけたクロムウェルのその一言にボーウッドは絶句する。
「馬鹿な!トリステインとは
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