再起-リヴァイヴァー-part2/兆しと和解
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たちの、アルビオンからの脱出を結局許し、いずれ邪魔になるかも知れないネクサスの排除も満足にすることさえできなかったワルドは、王党派から強奪した『ロイヤル・ゾウリン号』…いや、『レキシントン号』の視察を行っていたらしいクロムウェルに幾重も謝罪する羽目になった。
「ふむ、生きていた例の娘を逃してしまったということか」
少し考え込むように唸ってみせたが、すぐにこやかにクロムウェルは笑ってみせた。
「まあ、過ぎてしまったことだ。いつまでも気に止めないでくれ。それよりも見たまえ、あの大砲を。君たちへの信頼を象徴する新兵器だぞ!」
クロムウェルはワルドと、お供に連れてきていたふたりの人物にレキシントン号の突き出た大砲を指差した。
クロムウェルの傍らには、二人の人間が立っている。左隣は妖艶な空気をまといし秘書。名前は『シェフィールド』。虚無の担い手であるクロムウェルの使い魔でもあるというらしいが、彼女の実態を知っている者はほとんどいない。
右隣に立っているのは、。軍服と軍帽を見事着こなし口髭が渋く、貫禄漂わせる軍人『ヘンリー・ボーウッド』。艤装主任に命じられ、『レキシントン号』の艦長になる男。
(王権の簒奪者めが…)
しかし、ボーウッドはクロムウェルに忠誠を誓う気はサラサラなかった。彼の心は根っからの王党派だからだ。だが、彼は生粋の武人でもあり、軍人は政治に関与するべきではないと考えていた。その上彼の上官だった艦隊司令がレコンキスタに寝返ったために、やむをえず貴族派に靴変えすることになったのである。
だからクロムウェルはボーウッドにとって、できることならこの手で討ち取ってみせたい真の主たち…ウェールズたちテューダー王家の仇であった。
「これもシェフィールド。ロバ・アル・カリイエ出身の君がエルフたちから取り込んできた知識を用いてくれたおかげだ」
「お褒めに預かり、光栄でございますわ。クロムウェル閣下」
クロムウェルに対し、臣下の礼を示すシェフィールド。しかしボーウッドは内心疑っていた。
(これが、本当にエルフから学んだ技術だというのか?)
エルフは、このハルケギニアの技術と比べて悔しいことに優れていることははっきりしている。これまでエルフたちが、始祖ブリミルが降臨したとされる『聖地』をハルケギニア人たちから奪い取って以降、何度もブリミル教徒としてハルケギニアの国々はエルフに『聖戦』を挑んだ。しかし、彼らの持つ『先住』の魔法によって長きにわたって返り討ちにされ続けてきた。いかなる謀略を用いてもそれは同様だった。
ボーウッドはエルフをその目で見たことはないし、彼らの積んできた文明だって知らない。クロムウェルに殺された先王ジェームズ一世の今は亡き弟君…モード大公の妾がエルフだという噂を耳にしたことがある程度。それにさっきも明かしたとおり聖戦が返り討ち
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