羨望-エンヴィ-part3/羨む少年、羨まれる青年
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を覗き見る。ゼロと体を共有しているためか、ウルトラ戦士特有の能力『透視』を扱うことができる。そのためか、この闇の中に潜む怪物の姿や位置をある程度把握することができた。
「な、なんだってえええ!!?どうして僕らなんかを襲って来るんだ!」
ギーシュがそれを聞いてギーシュがビビって悲鳴を上げた。こっちは別に彼らを怒らせるようなことは何一つしていないのに、襲って来るなど理不尽だと思っているのだろう。
いや、理由なんかどうだっていい。
ルイズは緊急事態になったせいか、さっきまでで蟠り関係なしにサイトに尋ねてきた。
「ど、どうして私たちのいる方向がわかるの!?今は夜だから、あいつだって私たちのことがそんなに見えていないんじゃないの!?」
「あいつは、アリゲラは目を持っていないんだ!だからその代わりコウモリみたいに超音波を発して俺たちの位置を探知できるんだ!」
サイトは、今自分達を襲っている怪獣のことを知っている。
『宇宙有翼怪獣アリゲラ』。目を持たず、両肩の発光するパルス孔から発する超音波で辺りを確認でき、水中、空中を天馬の如き速さで駆け抜ける、疾風のごとき怪獣だ。確かに目を持たない状態でも獲物を襲うことができる器官があれば、一生をある意味暗闇の中で生きるアリゲラに夜の闇など無意味だ。この音速の速さを生かした戦い方に、あのメビウスも苦戦を強いられた。
「シルフィード!」
あいつの方が体が大きい分小回りが利かないはず。シルフィードに命じて全速力で逃げるしかない。
しかし、サイトたちは次に目の前を向いた時には、絶望感に満ちた表情を浮かべていた。すでに、自分たちの目の前にアリゲラが待ち構えていたのだ。
(は、速すぎる…!)
シルフィードも確かに早く小回りが効く優れた機動力の持ち主。しかし、圧倒的な巨体を持つがゆえにこまわりのきかないアリゲラが追いつけない理由にならない。もしスピードを出しすぎてシルフィードを通り過ぎてしまうことがあっても、通り過ぎた先でUターンし、正面から回り込んでしまえばいい。その結果が、たった今の現状だった。
自分でも、このシルフィードの、子供の竜ながらも通常の使い魔と比べて圧倒的な速さと体力を誇る。だが、相手が相手とは言え、こうしてあっさりと追いつかれてしまった。これが怪獣…常識を逸脱したその驚異の前にして、タバサはその驚異の大きさを改めて実感した。
もうすでにハルケギニア大陸の上空。トリステインに到着するのも時間の問題となったところで、追っ手の怪獣をなんの前触れもなく差し向けられ、そして絶体絶命の危機に立たされてしまったサイトたち。
(…きっと何も守れなかった…何もなせなかった俺たちへの罰なのかな…)
サイトは戦意を失っていた。もう変身する間も与えられずに自分たちは止めを刺され、コイツの餌としか食われることとなるのだ
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