羨望-エンヴィ-part3/羨む少年、羨まれる青年
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とだ。この場にいるものたちの大半は知る由はなかったのだが、昨晩からサイトとルイズは一言も言葉を交わし合っていない。使い魔と主人のあるべき姿とは大きくかけ離れたものだった。
「…別にいいだろ。ほら、さっさと帰るぞ」
「あんたが仕切ってんじゃないわよ…」
互いにそっぽを向いたまま二人はみんなに言った。見るからに険悪さを思い知らせる空気に、皆が息苦しさを覚える。
「サイトお兄ちゃんとルイズお姉ちゃん、一体どうしたのかな?」
「昨日の昼間ではまだ元気だったのに、夜からあまり元気がなくなってた。何があったの?」
「…さあな」
あまりに不穏で重い空気が流れ、気になってシュウの服の裾を引っ張ってきたエマとテファが訪ねたが、シュウには答えようがない。
「大丈夫よテファ。これはこの子の問題だから」
これは本人たちにしか解決できないことだから、気にすることはないとキュルケは言った。
「これ以上時間をかけないほうがいい。早く乗って」
タバサがすぐにシルフィードに乗るように皆に促し、サイトたちは直ちにシルフィードの背中に乗った。しかし、サイトは最後尾、ルイズは先頭のタバサのすぐ後ろで、互いにキュルケとギーシュを間に入れているという、完全に互いを避けているのが見え見えのポジションだった。
大丈夫だろうか、仲間たちは不安を口にはあえて出さず、今は胸の内にしまい込むことにした。
シルフィードは飛び立とうとしたところで、サイトたちはテファたちと手を振り合いながら、しばしの別れを告げた。別れを告げ終え、シルフィードは双月の輝く夜空へ飛び立っていった。
「…行っちゃったな。もっとゆっくりしてったらいいのに」
シルフィードに乗って飛び立っていったサイトたちを見送り、テファは名残惜しそうに言った。シュウとはまた別の、同年代の人たちと話ができて、いつもとはまた違う充実感を覚えたテファとしては、サイトたちとのふれあいはかけがえのない思い出の一ページとなった。
「奴らにも奴らの事情がある。ずっと留まれだなんて無理な話だ」
「そうね…」
シュウがそう言うと、現実に回帰してテファは寂しそうに納得した。
「さ、いつまでもここにいたら夜風で風邪をひいちまう。そろそろ家に入りな」
マチルダはテファや子供たちに家に入るように言うと、テファを率先にみんなは小屋の中に入っていった。しかし、シュウは子供達が小屋の中に入っても、すぐに入ろうとはしなかった。
「どうしたんだい、シュウ」
マチルダに名前を呼ばれ、シュウは彼女の方を向く。彼の手には、すでにエボルトラスターが握られ、埋め込まれたクリスタルが生々しい心臓の鼓動音を鳴らしながら光っていた。
「…」
その意味を理解して、マチルダは彼に真剣な眼差しで見る。
「行くんだね」
「最近、レコンキスタとやらが怪獣を操っているとい
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