羨望-エンヴィ-part3/羨む少年、羨まれる青年
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。この世界で初めて変身したとき、自分が助けたあの青年だ。ちょうど自分やコイツくらいの外見年齢だった。
とはいっても、所詮シュウからすればかなり大きな問題といっても他人事だ。むしろこんな大役を仰せつかったこいつらには敬意さえ払える。
だが、今のこいつはなんだ。今のお喋りマシンガンな剣の説明でこうなってしまった理由を聞いたのだが、なんてしょぼくれた姿をしているのだろうか。以前会った時の果敢な姿はそこにはなかった。
(まるで、上手く出来上がったくせに最後まで売れ残った果てに賞味期限が切れたクマさんカステラのようだな)
心の中でかなり奇妙な例えでサイトをそう評価した。正直こっちまでしょぼくれそうで目も当てられない。
「…さっさと立て。ここで乞食みたいに座り込まれても、ガキどもにとっても目障りだ」
立ち上がるように言う。冷たい言い草にデルフは「お前な…!」と苛立ちを募らせるが、サイトが気力のない言葉を吐いて口を挟んできた。
「なあ…」
…次の日の夜。
ずっと長く留まるわけにも行かず、サイトたちはウエストウッド村から出発した。失敗してしまったとは言え、任務の結果を報告しなければならない。なぜ夜に出発することにしたかというと、レコンキスタによってすでにアルビオンの各要所はすでに占領されてしまっていることは間違いない、ここは夜の闇に紛れてアルビオンからそのままトリスタニアへの直行脱出を図ろうというタバサの判断によるものだった。
村の広場…もとい中庭にて待っていたシルフィードの前に、サイトたちは集まった。
「ティファニア、世話になったわね」
「ううん、私たちの方こそありがとう。ここって何もないから、お客さんが来てくれる乗ってとても嬉しいの。しかも私がエルフの血を引いてることを知っても、皆さんはよくしてくれたから」
キュルケからのお礼に、テファは満面の笑みで返した。なんて純粋な子なのだろう。こんな子は今まで見たことがなかった。しかもあのプロポーション…細い体に自分以上の豊満な胸。正直女としてこの百戦錬磨のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・ツェルプストーは自信を危うく失いかけたほどだ。
「料理、もっと食べたかった」
一方でタバサはちょっとだけ残念そうな表情を浮かべていた。この村は無尽蔵に食料があるわけではなく、元々はこの村の子供たちのために備蓄されたものなので、見た目以上に食欲旺盛で大食らいの彼女はいつもどおりたくさんのご飯を平らげることができなかったのである。…できれば、自分の希望のない幼い胸に比べて、夢と希望が溢れすぎたテファの胸を忘れるべく、やけ食いしたかったとは内緒。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。また遊びに来てね?」
「ええ。また機会があればだけど」
サマンサがキュルケたちに対してまた来て欲しいと言うと、彼女に続い
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