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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
羨望-エンヴィ-part3/羨む少年、羨まれる青年
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「……」
そう言われてシュウは村の方角を見る。明かりのついたティファニアの小屋には、彼の主であるティファニアの他に、キュルケとタバサ、そして皆から一歩離れた位置で座り込んでいるルイズの姿が見えた。ああ、やっぱしさっきの相棒との会話が応えてやがるのか…とデルフは思った。今のルイズからは正直負のオーラばかりが漂っている。
ギーシュについてはマチルダから適当な鉄槌を食らっている。大方また、テファか自分が口説かれて怒ったのだろう。
ふう…とシュウはため息を漏らし、サイトのそばに生えていた気に背中をあずけて両腕を組んだ。そしてジロッとティファニアたちをしゃべっているキュルケたちを遠くから見る。まだキュルケたちの人となりを知らない以上、彼は念のため自分の目で彼女たちがどのような人物なのかを確かめようとしていた。
「で、例の彼ってどんな人かしら?」
「き、キュルケさん!だから私と彼はそんなんじゃなくて!!」
顔を真っ赤にして、昼間同様にからかってくるキュルケの言動を否定するテファのあの顔はあまり見ない。それもそうだろう、シュウはあのような不健全な話を話題にあげようともしない口だから。だが、それでも話、妙に楽しそうに話しているな。さっきは話の話題のせいか恥ずかしそうにしていたが、違う話に切り替わってからは楽しそうに話している。
「何もそこまで用心せんでも…娘っ子たちは悪い子たちじゃねえぞ」
「それは俺が判断することだ」
「だからって女子同士の会話に耳を傾けるなんざ、傍から見たらお前さん変質者だぞ。色男のくせに残念だねぇ」
きっとデルフに人間の顔があったら、ははは…と苦笑いを浮かべているに違いない。こいつはかなり真面目でストイックで、さらに融通がきかない一面があるようだ。相棒と果たしてそりが合うだろうか心配だ。
「人聞きの悪い事を言うな。そもそも、どうしてお前たちがここにいるのかをまだ聞いていない」
「ああ…そいつはな…」
デルフはサイトを見る。泣き止んでくれたのだが、今は木陰に背中をあずけその場に俯いたまま座り込んでいる。コイツの口から説明できる余裕はない。代わりに彼がアンリエッタ姫からの任務を受理してからこれまでの旅の経緯を一通り話すことにした。
「……ってなわけなんだよ」
「そうか…」
デルフからの説明を聞き、シュウは座り込むサイトを見下ろす。以前ラグドリアン湖で会った時の彼の姿を手は覚えている。まっすぐで、一本木であからさまに暑苦しそうな直情馬鹿タイプだ。それは同時に、自分にはない、どこか羨ましくも思えるものを持っている証だとも捉えていた。
確か、姫からの任務でこの国の王子から、同盟の障害となる手紙を引き取ろうとしたが、仲間の一人が裏切って手紙を強奪され、さらには王軍側の連中が殺された上に王子を誘拐された。王子…シュウにも覚えがある
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