過去-パスト-part3/光の贖罪
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れ、その息子たるウェールズ皇太子もワルドによって捕らえられ、いつでも殺すことができる状態にあった。
「ぐ…!!」
縄で両腕を縛り付けられ、跪かされるウェールズは、ロンディニウム城の玉座の間にて、本来なら国王である自分の父が座るべき玉座に我が物顔で座るクロムウェルを睨みつけていた。そんな彼を、周囲のレコンキスタ側の…元はアルビオン王国の臣下だった貴族たちは鼻で笑うかのように見ていた。
ウェールズはふと、クロムウェルの隣に立つ人物を見る。女だ。それも黒という珍しい髪の色をしている。ハルケギニアでは黒髪の人物など滅多に見ない。美しく妖艶で、しかしどこか恐ろしい何かを潜ませているような不気味な女だった。クロムウェルの秘書なのだろうか。
「此度の活躍は見事だったよワルド君。我が使い魔『シェフィールド』君によって起動した『始祖の方舟』を使いこなし、時代遅れの王室に始祖の鉄槌を下した。しかも、トリステインとゲルマニアの同盟を破るに必要な素材…アンリエッタ姫の手紙の入手、誠にご苦労だった。きっと始祖もお喜びになるだろう。我らの理想も、確実に一歩ずつ着実に進んだ」
「もったいない気お言葉です」
ウェールズの目の前に立つワルドは、クロムウェルの前で跪いて臣下の礼を取る。
「これも我らレコンキスタの結束の力によるものだ!選ばれし貴族たちによって結束し、聖地をあの異教徒たる忌まわしきエルフどもから取り返す!それこそ私が始祖より与えられし使命!これだけの結束の力があればそれも夢ではない!」
両手を広げ、立ち上がって大げさで熱烈な演説をするクロムウェルに続き、ワルドとシェフィールドと呼ばれた女以外の、周囲の貴族たちは「アルビオン万歳!」と何度も連呼した。
「皆の者、静粛に!ウェールズ殿下とお話したい」
クロムウェルがそう言うと、周囲の貴族たちは直ちに静まり返る。
「しばらくぶりですな、ウェールズ殿下」
自分を見下ろしてくるクロムウェルに不快感を覚えさせられた。表情は一見温和な笑みを見せているが、ウェールズは感じ取っていた。この男から発せられる薄汚い逆賊の匂いを。
「クロムウェル…貴様、何を考えている!無用な乱を起こして国を乱すなんて馬鹿な真似を!キサマらのせいで、一体どれだけの民が血を流したと思っている!?」
そう喚くウェールズに、彼をこの場へ連れてきたレコンキスタ兵が一発のムチを振り下ろし、彼をバシン!とぶった。
「今の閣下はアルビオンの新皇帝だ。亡国の若造ごときが生意気な口をほざくな!」
滅び去った王国にしてやる礼儀などないと言わんばかりに、その兵士はウェールズに向かって怒鳴りつける。
「待ちたまえ」
その兵に対し、クロムウェルは止めるように言うと、兵士は「し、失礼しました!」と敬礼し鞭を下ろした。
「我が部下が失礼を。そして、こうしてあなたを
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