過去-パスト-part3/光の贖罪
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しみを募らせ、血を吐きながら続けるだけの悲しいマラソンをすることはないの」
言葉を紡ぎながら、一歩ずつ近づいて行く。その時には、すでにアンヌはサイトのすぐ目の前の場所にまで歩み寄っていた。
『ええい!何をしている!!その女もろともそいつらを撃ち殺してしまえ!』
バルタンはいい加減に言うことを聞けとサイトに命じる。
だが、次の瞬間銃声が鳴り響いた。
『が……!?』
バルタンの方へ振り返ったサイトが、アンヌたちではなく、バルタンを撃ったのだ。サイトが、星人の洗脳に見事打ち勝ったのである。
アンヌはそっと、銃を握るサイトの手に優しく触れ、もういいんだと降ろさせた。
「…母…さん……」
少年とは思えないか細い、涙声でサイトは泣きながらトライガーショットを落とした。そのままアンヌに抱きしめられたまま、サイトは泣き続けた。失い、ずっと求め続けていたもの…それは復讐などではない。なんてことのない、平凡な『温もり』だった。
(…セブン兄さんは、こんなにまで素敵な女性と惹かれあっていたんですね…)
それを見て感動のあまり泣きそうな笑みをこぼしたミライと、セリザワは互いを見て頷いた。
「バルタン、貴様の俺たちウルトラ戦士への復讐心は相当のものだろう、だが、この二人を見てみるがいい。例え復讐に迷っても、他者との絆を持って光を取り戻すことはできるのだ。かつての俺がそうであったようにな。だが、逆にさっきまでの彼や今の貴様のように心の闇に囚われ続ければ、いずれその身に災いだけの未来しか訪れない」
セリザワはサイトに撃たれてもだえるバルタンに対してそう言った。だが、バルタンはこれまで自分たちの一族がウルトラマンたちに苦汁を飲まされ続けたこともあり、彼の言葉に対してかえって反感を抱いた。
『光だと…未来だと…戯言を!!我々バルタンの光も未来も…貴様らに復讐を果たし、この星を手に入れるその時まで取り戻すことなどできん!!』
「復讐に迷い、バルタン星の英知を失ったか!」
『黙れ!!!こうなれば、我が力を持ってこの地球を手中におさめ、先人たちへの手向けとしてくれる!!』
ついにバルタンは、自ら巨大化した。初代ウルトラマンに敗れた個体から80に敗北した6代目までの同胞たちの復讐のために、実力行使を持って地球侵略を開始したのだ。
意を決してミライもまた、左腕に、かの宇宙警備隊大隊長『ウルトラの父=ウルトラマンケン』から与えられた変身アイテムにして彼の武器『メビウスブレス』を出現させる。それに手を添えて一気に払うと、ブレスに灼熱の炎が灯り、ミライは天に向けてそれを掲げようとした…が、その手をセリザワが掴んだ。
「メビウス、今回は俺がやる」
「ヒカリ…!」
セリザワはサイトの方へ振り返る。サイトは傍に立つ義母と共にセリザワたちを、まだ赤く
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