過去-パスト-part3/光の贖罪
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』
しかし、アンヌは決してバルタンの言葉に屈しなかった。
「血の繋がりがどうとかだなんて関係ないわ!この子は私の子供なのよ!」
その場にいた誰もが奇妙に思った。一番なんの力もないはずの彼女が、この場で最も強い気迫を解き放っていた。あのバルタンでさえ、たった今言ったアンヌの言葉とその気迫に押され、わずかにもたじろいだようなしぐさを見せた。
「さあ、こちらへ…いらっしゃい…!」
アンヌは両手を広げ、一歩一歩サイトに近づいて行った。
『何をしている。さあ、撃て!似非の母など撃ってしまえ!』
バルタンに促されるまま、サイトは無言のままアンヌに向けてトライガーショットの引き金を引いた。
「サイト君!!やめろ!」
ミライが再び叫んだ。
「今のセリザワさん…ヒカリを慕う人がいるんだ!君の手で撃たれたと聞けば、きっとその人は君に対して憎悪を抱くに違いない!復讐をしたところで君の痛みは癒されるわけないし、それどころか君は他人からの憎しみをずっと抱えて生きることになる!それはきっととてつもない苦痛なんだ!君は復讐のためなら、こうして君の身を案じる人を撃ってもいいのか!?」
「…!!」
視界に見えた、両手を広げるアンヌの姿を見て、サイトのトライガーショットを握る手が…引き金に触れかけている指先が震えた。
『無駄だ…撃て!』
バン!!!
甲高い銃声が天に轟いた。アンヌは、撃たれて……
「………!」
「!」
『な、…なに…!?』
いなかった。彼女の足元に小さな穴が開き、そこからプスプスと小さな煙が立ち上っていた。トライガーショットの弾丸が、アンヌを貫くことなく彼女の足元の地面を貫いただけだった。
(外したのか。バルタンの洗脳に抵抗しているのか…?)
セリザワとミライ、バルタンが驚いた眼でサイトを見る。彼のトライガーショットを握る手が、プルプルと震えていた。アンヌは立ち上がり、再び両手を広げてサイトに呼びかけた。
「サイト!目を覚ましなさい!あなたのお父さんとお母さんがあなたのそんな姿を望んではいないのは、あなた自身がよくわかっているはずよ!」
『なぜ外した!早くメビウスたちをその女もろとも撃て!お前の両親を奪ったツルギとそれに肩入れするメビウスに復讐するのだ!!』
ついさっきのサイトの誤射についてバルタンは不満そうに大声を喚き散らした。しかし、一方でサイトは…。
「ウゥ…ウグァ…!」
表情が苦痛と苦悩によって歪み始めていた。撃てと促してくるバルタンの言葉を、頑なに拒絶しているかのように、首を嫌々と横に振り続けている、
「サイト、ご両親を失って一人ぼっちになって…ずっとつらかったのよね。でも、あなたは一人じゃないわ。これからは私があなたのお母さんなのだから。一人で突っ走り続けて、ただ憎
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