過去-パスト-part3/光の贖罪
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乱暴なやり方で連れてきたことをお詫び申し上げよう」
父を、臣下たちを無残に殺させておいて今更謝ってくるなど何様のつもりだ。ウェールズはより一層クロムウェルに対して怒りを募らせる。
「私のことをいかほどにも罵倒しても構いませぬ。しかしこれも、この世界に永久の繁栄をもたらすため。我らの親愛なる始祖が降臨なされた『聖地』をエルフどもから取り戻すため。それが、始祖ブリミルから『虚無』を受け継いだ私の使命。始祖が私に、いかなる手を使ってでも聖地を取り戻せと仰っておられるのです」
「ふざけたことを…貴様のような逆賊に始祖ブリミルのお力が宿るなどありえない!」
信じられるわけがない。噂ではこの男はその『自称虚無の力』とやらで人心を掌握し、はては怪獣を操ってアルビオン各地を混乱に陥れた。証拠に北方はレコンキスタに操られた怪獣のせいでひどい有様になっていたと偵察部隊から幾度も報告があった。個人的な理由も付け加えたら、こいつらは父を殺し、危害を加えてきた相手とは言え元は無関係だった炎の空賊たちをも…。
理想のために、人外特有の圧倒的な力=つまり怪獣の力を持ってここまで非道を平気でやるような組織を、そもそもこの大陸の人間が崇拝する始祖がお許しになるはずがないし、ましてや力をさずけるなんて真似もしない。もし本当だとしたら、始祖が力を与えてはならないモノに与えてしまったことになり、選択を間違えてしまったということになってしまう。そんなことはあってはならない。
「信じてくれてはいないようですね。残念だ」
「炎の空賊団は、貴様らが悪魔に…イセイジンとやらに魂を売り、その対価に怪獣を操る力を手に入れたと言っていた。すでにこちらでも証言はとっていた。貴様らレコンキスタに寝返ったアルビオン兵を尋問してな」
「ならば、証拠を見せてご覧に入れよう。私が虚無の担い手であることを」
にっこり笑うクロムウェルは、指輪を装備した右手を掲げた。その指輪に埋め込まれた紫色の宝珠が屋内に差し込む太陽の光を反射して輝く。それを見たウェールズは。ハッとなった。
(そうか…わかったぞ!クロムウェルの言う『虚無』の正体!やはり…!)
何かある確信を得たとたん、彼は両腕を縛る縄を解こうと両腕に力を込め、さらに立ち上がってクロムウェルに食ってかかろうとしたが、直ちに彼のそばに待機していたレコンキスタ兵が彼を取り押さえ、床の上に押さえつけた。
「往生際が悪いぞ!」
「ぐ…!!」
正直今の自分は潔く覚悟を決められない情けない王子かも知れない。だが、このままクロムウェルを捨て置けば、アルビオン王軍の壊滅以上の更なる災いが訪れるのではというおそれが彼を動かしたのだ。寧ろ貴族としてこの輩を見過ごせないという心情からなのか、それともグレンたち炎の空賊たちとの出会いと触れ合いを通した結果なのか。
しかし、こ
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