喪失-ロスト-part3/閃光の背信
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「ルイズ!僕には君が必要なんだ!」
「いい加減にしたまえ子爵、君は振られたのだ。男らしくここは潔く―――」
「黙れ!!」
見かねたウェールズが止めようとワルドの腕を掴むが、彼は鬼気迫る顔でウェールズの腕を振り払った。その様子にルイズは困惑した。
これがあの優しかった、自身が憧れだったワルドなのか?幼いころ、池の小舟の上で泣いていた自分を優しく慰めてくれた、あのワルドなのか?彼女に向き直ったワルド、まるで狂気に取付かれたかのように叫んだ。
「世界だルイズ!僕はいずれ世界を手にいれる!その為に君の力が必要なんだ!!君の中に眠る力が!!いつか言っていただろう、君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジになる!まだその才能に気づいてないだけなんだ!」
その言葉にルイズはようやく納得がいった。俯き、絞りだすように呟く。寧ろ、踏ん切りがついたと思えるくらいだった。それ以上に、豹変したワルドへの怒りが込み上げてきた。
――――力ですって?
「………放して」
ここではっきりした。ワルドがこの旅で執拗に自分にアプローチしてきたのは、ルイズ自身に、惹かれていたからじゃない。
聞いていたサイトも、ワルドに対して顔の血管を膨れさせた。なんだよ…それ。ルイズが好きだったから婚約者やってきたんじゃなかったのかよ…!!!
「ルイズ、僕には君が必要…!!」
「放しなさい!!」
ルイズは自身を掴むワルドを睨み付けながら叫んだ。
「ふざけないで!あなたは私の事なんかちっとも愛してないじゃない!あなたが本当に欲しているのは、あなたが私の中にあると思い込んでいる、ありもしない力じゃない!!酷いわ、そんな理由で結婚しようだなんてこんな侮辱はないわ!!
こんな結婚、死んでも嫌よ!」
「なんという侮辱だ!!ヴァリエール嬢の言うとおりだ、ワルド子爵!その手を離したまえ!でなければ我が魔法が君を貫くぞ!」
「そうだそうだ!子爵、何という無礼を働いたのだ!」
「こんなブ男のために、我らはこの結婚式に出席したと?我らにはラ・ヴァリエール嬢のお気持ちが痛いほど理解できたぞ!!」
「まずい酒を飲まされた気分だ!折角のめでたい式を台無しにしおって!」
ウェールズをはじめとして、出席者のメイジたちはワルドに杖を向ける。
「やっぱりあたしの読みが当たっていたようね!!力ですって?ルイズがゼロなのかどうかはさておき、そんなことでルイズと結婚だなんて男の風上にも置けないわ!」
「なんてことだ…子爵!!この青銅のギーシュ、正直言ってあなたには失望しましたぞ!!ルイズを今すぐ放したまえ!!」
キュルケもそうだが、ワルドに憧れていたあのギーシュでさえ怒りを露わにしていた。タバサも表情はほとんど変えてないように見えて、その目はわずかに吊り上っていた。
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