暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
喪失-ロスト-part3/閃光の背信
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ではずいぶん近くに見える。ワルドのやけに焦っている顔が目に映っていたのだ。
「ひょっとしたらガンダールヴの能力かかもな。使い魔は主人の目となり耳となる能力が与えられるからな。ルーンだって光ってるじゃねーか」
デルフに言われて、彼は自分の左手を見た。確かに、左手のルーンが光っている。
「もしかしてこれ、ルイズの視線なのか?逆なこともあるんだな」
でも、どうして急に彼女の視線が見えたのだ?ふと、タバサがサイトの袖を引っ張っていた。なんだろうと思ってタバサを見下ろすと、彼女はデルフを持ち上げてサイトに渡そうとしている。
「気を付けて」
物静かで消えそうな声。しかし、その声には確かに今の彼女が強く抱いている感情が見え隠れしていた。



「ルイズ?」
「どうかしたかね新婦?」
二人が話しかけと、ルイズは意を決したように顔を上げた。
「皆さま…大変失礼を致しまして申し訳ありません!ご無礼をお許しください!」
「どうしたのかね新婦?日が悪いなら改めて」
「気分がすぐれないのかい?だったら少し休んで……」
ルイズは目を閉じワルドの言葉に首を横に振った。
「違うのそうじゃない、そうじゃないの」
怪訝な顔をするワルドを、ルイズは改めて見つめなおし、己が決めた答えを口にした。



「ワルド…ごめんなさい。私、あなたと結婚できない」



それを聞いた途端、式場中がさらに騒然となった。ルイズは罪悪感を抱いた。せっかくの結婚式を喜んでくれた王軍の皆にこんな残念な思いを抱かせることを。せっかく結婚を迫ってくれたワルドの願いを断ること。いくつもの罪悪感が板挟みとなった。だがそれでも、言わなければならないと自分の心が叫んでいた。
「し、新婦はこの結婚を望まぬか?」
「はい、わたくしはワルドとの結婚を望みません。皆さまには大変申し訳ありませんが……」
ルイズは心から謝罪して頭を下げた。ウェールズは哀れみながらワルドに話かけた。
「子爵。お気の毒だが新婦が望まぬ以上、式を続ける事は―――」
するとワルドはウェールズが話し終える前にルイズの両肩を掴み、恐ろしい形相で迫った。
「緊張しているんだろルイズ!?君が僕の求婚を拒むはずがない!」
しかしルイズは申し訳なさそうに首を横に振り続けた。
「ごめんなさいワルド。確かにあなたの事は憧れてたわ、でも…それはあくまで『憧れ』であって『恋』じゃなかった。本当にごめんなさい」
もっと早く気付くべきだったかもしれない。そうすれば、自分のためにこんな晴れ舞台を擁してくれたウェールズやワルド、そしてこの結婚式に祝いに来てくれたみんなに恥をかかせるようなことはなかったのに…。
しかし、そんな罪悪感も次からのワルドの行動で露と消えるなど、誰が予想しただろうか。
ワルドは腕を掴む力を強めた。
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