喪失-ロスト-part3/閃光の背信
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嫌いじゃないし、結婚する相手としては決して悪い人間じゃない…そのはずなのに…。
もしかしたら、今式場にいる王軍の人たちが死に向かうかもしれないから?…いや、違う。それもあるかもしれないけど、そうじゃない。
サイトは、どうして自分が結婚すると聞いても、ただ「おめでとう」の一言しか言ってこなかった?…わかっている。自分はご主人様でサイトはあくまで使い魔だ。その関係を押し付けるだけ押し付けていた。だからサイトが昨日、自分とワルドが結婚してもいいのか?とサイトに言っても、自分は使い魔でワルドは婚約者なのだと、すでに分かっていることを言ってきた。
どうして、ワルドと結婚してもいいのか?なんて、そんな言葉を口にしたのだろうか。
…そうだ、止めてほしかったのだ。サイトに。どうしてか?
その理由に気づいて、ルイズは顔を赤らめた。
これまで、サイトは自分のために、目の前の危機に果敢に立ち向かっていた。学院が謎の円盤から攻撃を受けたときは逃げ遅れた人を助けに火中に飛び込み、フーケ事件の時は、怪獣にやられそうになった自分を助けてくれた。貴族がなんだ、死んだらお終いだろと言っているくせに、自ら危険の中に飛び込む。その理由は、誇りとか名誉のためじゃないのはわかる。それは……サイトには強い正義感と優しさが備わっているから。それ故に他の誰かが傷ついて行くのを見たくなかった。だから、自分は彼に助けられてきた。普段は犬だの使い魔だのと罵倒している一方で、ルイズはサイトの戦う姿を記憶に焼き付け、その戦う姿の根源たる心を知った。
だからだろうか?自分が昨日、サイトの胸に飛び込んだのは。
(私は…本当はサイトのことを…?)
「………ド・ラ・ヴァリエール、汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とする事を誓いますか」
ルイズはハッとした。いつの間にか式は誓いの言葉を口にする段階まで進んでいた。ウェールズがルイズに誓いの言葉への返答を尋ねる。だが、ルイズは俯いたまま答えない。
そのためか、この結婚式の出席者たちもいったいどうしたのだろうとざわつき始めた。サイトたちも立ち上がって様子がおかしいルイズたちを見た。
「一体どうしたんだねルイズは?」
ギーシュが思わず声を漏らす。一方でキュルケは目つきを変えてルイズたちを見ていた。その真剣な眼差しに、何か鋭いものをその目に宿していた。
(ルイズ、一体どうしたんだ?)
ふと、サイトは自分の身に異変を感じた。違和感を感じたのは左目だ。
「どうしてぇ相棒?」
デルフが顔を出してきて尋ねてきた。
「左目が変なんだ。なんか別の景色が見える」
左目に映る光景。視界にはワルドとウェールズが飛び込んでくる。だが、おかしいのは、右目だと自分が座っているここから少し遠くに小さく見えるはずの二人の姿が、左目
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