喪失-ロスト-part2/ルイズの結婚
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俺たちの気持ちをどんなに蔑にしたら気が済むんだ!これまでお前らのために戦ってきた俺たちの気持ちをわかってくれねえんだ!」
何もかも、グレンの言ってることは正しかった。死亡率の高い戦いの勝率を上げる、王族としての義務を果たす…それにかこつけて自ら死を選ぼうとした意図を読まれ、その理由を男として情けないと罵倒され、ウェールズは、すでに何も言い返せなくなっていた。
俯くウェールズを見て、サイトも一言申し上げることにした。
「皇太子様、迷惑だろうがなんだろうが、ここにいるみんなは、あなたを必要としているんです。アルビオンの王子としてじゃなくって、ただ一人の人間として。トリステインの姫様も、ただ愛する人としてのあなたを必要としているんです」
「…僕は、生きてていいのか?」
「そう言ってんだろうが。俺たちは、迷惑になんか思っちゃいない。なんなら、俺たちのクルーになるかい?大歓迎だぜ」
怒りの表情から、まるで炎が鎮火したように穏やかな笑みを見せるグレンに、ウェールズは薄く笑みを浮かべた。
「はは…演技ならまだしも、やめておくよ。父上たちに怒られてしまう」
ピリピリとした空気が、なんとか二人の仲直りで収まってくれたようだ。それを見てサイトもまた安心した。
同時に、サイト自身も二人のやり取りを見て、本当はこの世界には必要ないかもしれない自分と存在が政略的に厄介なものとされたウェールズを照らし合わせ、そのウェールズが気力を吹き返したのを見て元気を取り戻した。そうだ、俺だってまで頑張れるんだ。ゼロが当てにならないからって決して無力なわけじゃない。
この世界にはもう一人のウルトラマンとかグレンファイヤーのような頼もしい戦士がいるから自分は必要とか不必要とか、そんなの考える必要なんかない。それよりも今自分に何ができるかを考えなくては。
「明日の戦いのことは、ヴァリエール嬢とワルド子爵の結婚式後にでも考えるよ。僕も、君たちも生き残って勝つための作戦をね」
それを聞いて、サイトはハッとなる。
(そうだ…ルイズとワルドは結婚するんだよな。王軍の必勝祈願もかねて…)
正直、どうしてか思い出したくもなかったことなのだが…。
ルイズとワルドの結婚のことを思い出して、サイトはウェールズたちと別れた直後に彼女を探しに行った。
しばらく歩いていると、廊下に設置されたロビーのソファに、月明かりに照らされたルイズが座っているのを見つけた。
「サイト…」
自分の使い魔の姿を見た途端、ルイズはサイトの胸に飛び込んできた。いきなり抱きつかれたことに激しき動揺したサイトだったが、すぐに彼女がそうしてきた理由を理解した。なにせ、ルイズの口から漏れ出ていた声が涙声になっていたのだから。
「どうして…?姫様は間違いなく皇太子さまに逃げてって手紙で仰ってたわ。なのに、どう
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