喪失-ロスト-part2/ルイズの結婚
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ンの腕を握り返してきた。
「僕だって、君や、あの時僕を救ってくれた銀色の巨人のように強くありたかったんだ…!!ずっと思っていたんだ。かつて、始祖がご健在だった時代にてアルビオン王家の祖先である『鏡の騎士』がそうであったように…!!」
「鏡の騎士?」
サイトが何のことだと疑問に思った。ウェールズには何か、特別な要素があるというのだろうか。それについて疑問に思ったサイトを察して、グレンが説明した。
「…ああ、アルビオン王家の男児には、あらゆる悪を滅する伝説の力が宿るって言われてるんだ。一説ではその力が、失われた系統『虚無』だとか言われてるけど、根拠のねえ迷信だ」
「…所詮伝説は伝説なんだ。僕に…いや、我々アルビオン王家には『鏡の騎士の力』はすでにないんだ。きっと元から幻だったか、存在していたことが真でも、もう何代も前に途絶えたのだよ。そんなものは」
ウェールズは力強く胸倉を掴んでくるグレンの腕を振り払うと、何もかもとかなぐり捨てるかのように喚き散らした。
「僕なんか…もう生きていても迷惑なんだ!!生きていたところで、僕の存在はアンリエッタのいるトリステインにとって厄介極まりない存在なんだ!!そんな状態の僕に、泥水を啜ってでも生きろ?…残酷だ…」
そこには、一国の王子としての姿はなかった。自分が大事に思っている姫の力になるどころか、存在さえも許されなくなり、ましてや叛徒たちの反乱と侵略を許してしまうほど惰弱な王子。もし自分に大きな力があったら、叛徒たちに後れを取らせることもなかったし、アンリエッタの隣にはゲルマニア皇帝などではなく、自分が立っていたかもしれない。
無力な自分とただただ嘆き続ける、ただ一人の人間の姿だった。
そうかよ…とグレンはウェールズから背を向けた。
「だったら、俺はありのままあなたの選んだ選択をトリステインの姫さんに伝えてくるさ」
それを聞いてウェールズはハッとなる。自ら死を選んだことを、アンリエッタに伝えると言うグレンの言葉に耳を疑った。
「ウェールズ皇太子は自ら死を選んだ。そのことを伝えたら、きっとアンリエッタ姫様は悲しむでしょうねえ」
「待ってくれ!そんな話をアンリエッタに…!!」
自分を愛していると言うアンリエッタの気持ちを知っているウェールズとしては、そんな話をアンリエッタには聞かせたくなかった。可憐な花のような彼女のその美貌をいらぬ心労で害してほしくはない。
「死ぬつもりなんだろ?死人に口なしって言うよな。死んだ人間にとって、死後の時代なんて無縁でしかねえ。見ることも触れることもできやしねえ。それに、死んだ人を大事に思う人は、もう二度と触れることさえも言葉を交わすこともできやしないんだ」
再びウェールズに向き直ると、グレンは彼の眼前に立って彼に向かって怒鳴りつけた。
「ウェールズ、てめえは姫さんや
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