喪失-ロスト-part2/ルイズの結婚
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だ」
「人の話聞いてんのか!俺たちにとってダチほっといて逃げるなんざご法度なんだ」
「だからこそだ。君たちは元々無関係な立場にある。僕たちアルビオン貴族同士のいさかいのために、君たちの自由を奪う権利は僕らにはない。
ガル船長たちも、そのあたりについては君に同じことを言っていたんじゃないか?」
「それは…!!」
(……)
頑なに翌日の戦いの場から離れることを拒否するウェールズと、それに猛反論するグレン。グレンと二人で話しているときのウェールズの様子もまた、ルイズから亡命を勧められたときとは様子が違っていた。妙に、焦っているようにも見受けられた。
ふと、サイトが近くにいたためか、彼が隠れていた部屋のドアがギィイ…と音をたてた。
「誰だ!?」
その音に気が付いて、グレンとウェールズが警戒してドアの方に向き直った。
「す、すいません…俺です」
あまり不信に思われるような態度や行動はとるべきじゃないだろうと思い、サイトは自ら扉を開き素直に謝って頭を下げた。
「あんたは確か…あの大使の女の子の使い魔、だったよな?」
「あ、ああ…そうだけど。ごめんなさい。偶然聞こえてて…」
「いや、そんなに大したことは離していなかったから構わないさ。晩餐会は楽しんで…はいないみたいだね。栄えぬ顔をしているが、大丈夫かな?」
「あ、いや…その…」
浮かない顔をしているサイトを見て、ウェールズはふむ、と声を漏らす。
「気分転換に話でもしようか。君も入ってきたまえ」
空いている客間へと移り、テーブルに向かい合う形で三人はそれぞれ一人用のソファに座った。
「二人って、王族と空賊って間柄なのに、仲がいいんだな…」
グレンとウェールズを見て、改めてサイトは思った。最初に出会った時のルイズのように貴族というのはかなり高慢さばかりに磨きがかかった印象があったから、時に犯罪だってやるかもしれない空賊と、それを取り締まる貴族の中の貴族である王子が仲良しになるなんて、普通は想像できないだろう。
「炎の空賊がレコンキスタに反抗し、我ら王党派に味方をするようになってから、僕と彼は年代もほぼ同じでよく話すことが多かったんだ。これまでどんな場所を仲間の空賊たちと旅してきたのか、たくさんのことを聞かされてね。僕は王族だから本格的な旅には出かけられないからよく話を聞いていたんだ」
なるほど、話をしているうちに打ち解けて仲良くなったんだ…でもこれはこれで、故郷で平等性を重んじるよう教育されたサイトからすればいい傾向だと思う。身分の差に拘らない絆を紡ぐということは、身分にこだわっている間では決してできない新しい可能性を見出すこともできるし、身分差別から起こる問題も起こらなくなっていくかもしれない。
「おめえさん、やっぱ気にしてるだろ。ウェールズたちのこと」
グレンからそう言われ
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