用心棒-グレンファイヤー-part2/浮遊大陸X迷入
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その頃、桟橋に停まった船の甲板の上では船員たちが騒いでいた。
「おかしい、予定より早いが我らはアルビオン大陸に到着したはずだ」
操舵室から現れた船長も、予定よりずっと早くアルビオンに到着したと言うことに奇妙なものを覚えた。いや、この時ある疑いを船員たちは抱いていた。
――ここは本当にアルビオンなのか、と。
この大陸に立ち込める、怪しく不気味な雰囲気に違和感を覚えていたのだ。それになにより、到着先であるはずのアルビオンの港町『ロサイス』の姿が、どこにもないという話だった。桟橋のすぐ近くに、確かに港があるはずだったが、街の姿は影も形もなかった。あるのは、生い茂るだけの草木の群れだけ。
ハルケギニア人であるキュルケ・タバサ・ギーシュはもちろんだが、サイトもこの大陸に漂う雰囲気に違和感を覚えた。
「なんか…この大陸、静かすぎるんじゃない?」
キュルケが辺りの林を見まわしながら言った。街がないからそれは当然かもしれない。でも、とにかく『静かすぎる』と言う言葉を使わずにはいられないほど、この大陸は静かすぎた。
「小鳥たちの鳴き声も聞こえない」
タバサも周囲を見渡しながらそう言った。街と言うものには、目移りすれば街の建物の屋根の上に降りて羽休めする鳥たちを腐るほど見受けることだってあるだろう。だが、今彼らのいるこの場所には小鳥たちの気配さえもなかったのだ。
ただ、静寂さばかりが漂う林の生い茂る島。一体どうなっているのだろうか。すると、サイトたちの元にワルド子爵がやってきた。
「ワルドさん、ルイズは?」
「ルイズなら船室に置いてきた。彼女を危険な目に合わせるわけにはいかないからね」
サイトからの問いに、ワルドはそう答えた。確かに、彼女にはアンリエッタ姫から預かった手紙を守り、ウェールズへ送り届けると言う使命がある。彼女を守るための使い魔であるサイトとしても、この案には同意をさせられる。
「しかしどうもここは、アルビオンとは思えないな」
周囲を、目を凝らしながら眺めるワルド。今自分たちが立っている場所の怪しい空気を肌で感じ取っていた。
「アルビオンじゃない?では、ここは一体どこなんです?」
目に恐怖を浮かばせながらギーシュは尋ねるが、ワルドとしてもこの場所がどこだなんて答えられるはずもない。
「でも、アルビオン以外に浮遊大陸があったなんて話聞いたことないわよ」
今キュルケが言った通り、現在ハルケギニアにて確認されている浮遊大陸は、アルビオン大陸ただ一つだけだ。だが、到着予定の港町ロサイスは影も形もない。違う場所に停泊したのかと考えもしたが、それも否定されるだろう。港町以外で、桟橋の設置された町なんかないのだから。
森と草木でだけしかなく、街明かりはおろか、人がどこかで騒いでる感じもしない。
「近くに街がない
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