用心棒-グレンファイヤー-part2/浮遊大陸X迷入
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瞳を閉じた。二人の顔、唇が互いに近づいていく。
その途中でワルドは語りかけるように呟いた。
「君は僕が守ってあげるよ」
瞬間、ルイズの頭をある言葉がよぎった。
『俺は、お前の使い魔なんだろ』
夢の中でだが、サイトが自分に言った言葉だ。…あいつは、私が結婚しても一緒にいてくれるのかな…?
「サイト…」
「ルイズ?」
話しかけられたルイズは目を見開き、眼前まで迫ったワルドの胸を押し止めた。
「ご、ごめんなさいワルド。わたしまだ………」
「どうやら君の心に誰かが住み始めているみたいだね」
あまり怒っているようなそぶりもなく、やれやれと言った感じでワルドはため息をついていた。ルイズは慌てて弁解しようとする。
「ち、違うの!?そうじゃなくて!サイトは何にも知らずに異世界から来たから、わたしが呼び出してしまったからちゃんと帰す責任があるから…その…!」
その様子に、ワルドは身を起こすとやんわりとした表情で話し始めた。
「いや、僕の方も事を急ぎすぎたようだ。構わないよ、今すぐ返事をくれとは言わない。すまなかったね」
ルイズに詫びの言葉を述べると、取っていた帽子を被る。
「でも、この旅が終わる頃には君の心は僕に傾いているはずだしね」
と、その時船の船体が揺れた。地上に降りたのだろうか。ということは、もうアルビオンに到着したと言うことか?しかし、ルイズは奇妙に思う。アルビオン大陸へ着くには、まだ早い気がする。今日の夜は双月が重なる。その時間はアルビオン大陸がハルケギニア本土に最も近付く時間だ。予定だと半日は空の上、もし昨日の夜のうちに出発していたら、翌日の太陽が昇ってから数時間後、次の日の昼だ。けど、今日は朝のうちに出発したから、ちょうど夜に差し掛かる時間帯のはず。
何かおかしい、この日はアルビオン大陸がたまたま最接近したからなのだろうか。この奇妙な感覚は、ワルドも感じ取ったのか、部屋の扉の前に立つとルイズの方へ振り返って言った。
「ルイズ、君はここに残ってくれ。僕が外を見てくる。こんなに早くアルビオン大陸につくなんて…あまり思えなくてね」
「いいえ、私も…」
「だめだ。ここに残るんだ」
強く、念押しながらワルドはルイズに言った。かなり強く言ってきたワルドに、プレッシャーを感じたルイズは何も言えなくなった。ワルドが部屋を後にして、部屋の扉が閉ざされる。
確かに、今の自分には姫様からウェールズ皇太子宛に託された手紙を守ると言う使命がある。だから自分が命の危機にさらされることは避けなくてはならない。これまで何度も、自分が無謀な行動をとるたびにサイトからいさめられた。でも…だからこそもどかしかった。ここでじっとしていることが。やっぱり、こそっと行こう。ルイズは忍び足で部屋の扉に近づく。ゆっくりと、誰にも見つからないように部屋を出た。
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