婚約者-ワルド-part3/ゼロの過ち
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が待っているからね」
そう言って彼女はフライの魔法で屋根の上から飛び降りて地上に降りると、直ちにシュウに言われた通りに走り出した。
「…どうして俺の周りには、俺をここまで気を遣う人がいるんだろうな…」
去り際に自分に優しい言葉を向けてくれたマチルダに、シュウはため息をついていた。まるで、自分が他人からの気遣いを受ける資格がないと言わんばかりの言い方だった。
ともあれ、ラフレイアを食い止めなければならない。シュウはエボルトラスターを鞘から引き抜き、双月が照らす夜空に向けてそれを掲げた。
しかし、それを物陰から覗いていた人物がいた。
ラグドリアン湖で、サイトたちを襲ってきた、あの黒いローブの少女だった…。
サイトたちも、ラフレイアの姿を遠くの路地から目の当たりにした。
「花の、怪獣!?」
一瞬同じ植物型の怪獣『宇宙大怪獣アストロモンス』かと思ったが、姿形がまるで違う。アストロモンスとは違って顔がないと言うか、顔が花そのものという姿をしている。
「なんとも風情のない花だろうか。とても愛でる気になれないね」
ギーシュはラフレイアの姿を見て、嫌そうな顔をしている。薔薇の造花の杖を持っているから花に対するこだわりと愛情があるようだが、さすがに怪獣になるとお断りのようだ。
「これはまずいことになったね。もし街に被害が出たら、街の住人だけじゃない。明日の船の出航にも支障がでるやもしれない」
「そ、そんな!だったら一刻も早く食い止めないと!」
ワルドの言葉に、ルイズはすぐさま杖を取り出した。せめて、いつでも反撃できる体制をとっておかなければ。
ラフレイアは、花弁から真っ黄色のチョークの粉のような花粉を振りまき始めた。その花粉は物質に付着すると、瞬時に気化し人間を圧倒いう間に炭化させてしまう恐ろしい殺人兵器でもあった。
「う、がああああああ!!!!」
その花粉を浴びた、逃げ遅れた街の住人や先にラフレイアと対峙していた兵士たちはそれを吸い込む、または浴びてしまったことで次々と倒れ、命を落としていった。
「怯むな!風の魔法で花粉を街の外へ吹き飛ばせ!」
ラ.ロシェールの軍は手をこまねいているわけにはいかない。直ちに風のメイジを結集させ、街の外へ花粉を吹き飛ばす。
「地面を沼に変えて奴の足を止めろ!」
さらに地上には土と水のメイジを集め、ラフレイアの足元の地面を直ちに深い沼に変えた。ラフレイアはその領域に踏み込んだことで一時足を止める。
「汚らわしい化け物!これでも食らうがいい!」
一方で平民兵士は弓を、風系統以外のメイジは上空から魔法を撃った。しかし弓の攻撃は特に矢じりが突き刺さりもせず、効果がなかった。そしてメイジたちの魔法は、悪いことにすべて火系統の魔法だった。恐らく植物型の魔物だから、火が一番効くと思ってい
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