婚約者-ワルド-part3/ゼロの過ち
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「サイト、なんで断らないの!ワルド、私たちはそんなことしてる場合じゃないのよ。やめてあげて」
「なに、手加減はするさ。大怪我を負わせるような真似はしない」
まるで自分はこの程度の相手には負けないみたいな言いぐさに、サイトはムッとした。自分でも負けず嫌いな面があると自覚があるだけ、ちょっとだけゼロの気持ちが分かった気がした。
その時だった。突如この街の住人と思われる中年の男性が宿の中へ飛び込んできた。
「たたた、大変だ!!!怪獣だ!怪獣が現れたぞ!!」
「「「「!!!」」」」
怪獣が、現れただって!?サイトたちは目を見開いて驚愕した。
「ギィイイイイイ!!!」
ラ・ロシェールの街に、一体の巨大な怪獣が接近していた。名は『ブルームタイプビースト・ラフレイア』。名前通り植物の特徴を持ち、その体が獣のような構成となっているビースト。
ラフレイアはラ・ロシェールの街に狙いを定め、まっすぐ街の方へと向かって行く。
「シュウ、奴があんたが狙いをつけてた奴かい?」
街に近づいて行くラフレイアを建物の屋根の上から見て尋ねるマチルダに、隣に立っているシュウは静かに頷く。
「マチルダさん、できればここの兵に、火やそれに近いものをぶつけないように言ってくれないか?避難誘導も頼みたい。俺は奴を食い止めに行く」
「火を?どうしてだい?あいつは植物の怪物みたいだし、火を使うのが定石じゃないのかい?」
「いや、奴のふりまく花粉は可燃性だ。ほんの少しの火力のある攻撃を受けると、誘爆を引き起こす。そうなったら、この街はほぼ壊滅したと言ってもいい被害を受けることは間違いない」
「マジかい…」
ラフレイアの体内には、水素ほどの質量をもつ花粉が大量にため込まれている。まさに生きた核爆弾そのものだ。万が一火を使えば、この街は火の海となる。それは絶対に避けなければならない。
変身し、メタ・フィールドに花粉ごとラフレイアを引き込むことで、街への被害をなくすと言う最善の手があるが、念のためシュウはラフレイアの花粉の危険性を街の人たちに説くように言うことにしたのだ。
「貴族が、しがないはぐれメイジのあたしの言うことを聞いてくれるか保証はしかねるよ」
権力おぼれした貴族共は別にどうなってもいいが、この街には平民たちがたくさんいる。その人たちの死に様は、マチルダも見たいわけじゃなかった。
「それでもだ。やらないよりはマシだろ。変身したらすぐに結界も張る。それまでの間だけでいい」
今は、この街の警備をしている兵たちが平民から貴族まで総出で向かっていた。火のメイジなんてどこの国にも腐るほどいる。今の内に手を打つ必要があった。
「…わかった。でも」
マチルダはまっすぐシュウを見て、真剣な眼差しを向けて言い放った。
「ちゃんと生きて帰ってきな。テファたち
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