婚約者-ワルド-part3/ゼロの過ち
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は理解した。シュウの言うビーストと言う単語の意味は、まぎれもなく怪獣の事である。
「もうすぐこの街は襲われる。だからここに来た」
「…ご苦労なこったね。でも、助かったよ」
ふう…とため息を漏らすマチルダ。ここでシュウが現れなかったら、レコンキスタに嫌々従わされるところだった。
「せっかくだから、あたしと一杯飲むかい?」
「…なぜだ?」
「戦う前の一服って奴さ。それにあんた、ほぼ毎日休まず戦ってるだろ?休むのも戦いの内って奴だよ」
その問いに、シュウは静かに「…ああ」とだけ言った。やっぱりそうか…とマチルダは自分の予想が的中したことを悟る。何せ、彼の顔にわずかだが疲労感が見える。目の下のクマがうっすらと浮かび、寝る間さえも惜しんで、彼は人知れずウルトラマンとしての役目を全うしていたのだ。
「あのさ、シュウ」
マチルダは隣に座ってきたシュウの方を向くと、まっすぐ彼を見てこう言った。
「…さっきの話だけどさ。聞いてたろ?テファの事。あの仮面の男がべらべらしゃべったからね」
「…ああ。聞くつもりはなかったが。まさか、あいつが王女同然の身だったとはな」
シュウも仮面の男がマチルダに持ちかけてきたテファの話を聞いたときは、顔には全く出していなかったが驚いてはいた。すると、マチルダは周囲には聞こえないように、シュウに話した。
「あたしの実家、サウスゴータはあの子の父上、モード大公にお仕えしてたんだ。モード大公はアルビオン王の弟君だったけどね。奥様を亡くした後、ご自分の領地に迷ってきたエルフの女性と恋に落ちて、妾として保護したんだ。もちろん、兄である国王には内緒にしてね」
「そのモード大公とやらと、妾として保護されたエルフの女が、ティファニアの両親と言うわけか」
世間では対立しあう種族同士とされている人間とエルフ。そのハーフであるテファが生まれた理由を知ったシュウ。ここまで来ると、その両親が今どうしているか気になったのだが…。
「それ以上は聞くつもりはなさそうだね」
シュウは口に出さなかった。
「何があったかなんて、手に取るようにわかるからな」
もし生きているなら、そのご両親もテファと孤児たちを養うためにどこかで働いているか、もしくはあの村で共に過ごしている可能性がある。でもそんなそぶりと言える話はなにもない。おそらく、もう亡くなってしまっているのだろう。そしてテファはマチルダと共に王家の追っ手から逃げてウエストウッド村に隠れ住み、現在に至るということだ。
「さっきとは違う話だけど、も一つ言いたいことあるけど、いいかい?」
あまり酒場の席でするには暗い話だし、妹の嫌な過去の話だったので、マチルダは話の話題を切り替えてきた。
「いくらその力を持ってるからって、何も正義の味方らしく戦うこった無いはずだよ?今の仮面の男みたいな奴らが、今
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