婚約者-ワルド-part3/ゼロの過ち
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、なによりエルフはあの子の血縁者たちだ。それについても抵抗を感じる。
すると、仮面の男はどこかマチルダを、いや…マチルダに連なるすべてをあざ笑うように呟いた。
「相当あの忌まわしいエルフの血を引く娘に肩入れするな?あの娘の一族と戦うのがそんなに嫌か?」
その言葉にフーケは、今度こそ全身の血の気が引くのを感じた。私の事だけじゃなく、まさかあの彼女の…ティファニアたちの事まで知っているのか!?
「あんた…あの子たちのことを…!?」
「他にアルビオン王家の血を引く者がいないかを確かめ探してみたら、見事貴様の預かっているという娘がそれに該当したのだ。まだ正確な場所はわかっていないが、大方貴様の元領地の付近の森にいるのだろう?その気になれば、軍を動かして森を焼き払うことだってできる」
唇がくっ付きあいそうなくらいマチルダに顔を近づけ、冷たい声で続ける仮面の男はマチルダをさらに追い詰める。
「お前を連れてあの娘のいる村へ行けば、きっとあのハーフエルフの、それもアルビオン王弟の娘も俺に従わざるを得なくなる。お前と言う貴重な人材のため、すぐには殺さんがあの娘の存在は見逃すわけにはいかん。アルビオン王家の血は、我らがこの先の時代に咲き誇るには邪魔だ。始祖の仇敵であるエルフの血を引くならなおさらだ」
完全にお手上げの状態だった。仮面の男の答えを聞くとフーケは俯き、悔しそうに唇を噛んだ。協力するしかないのか?
しかし…。
「そこまでだ」
その時仮面の男の背後から、黒ずくめに身を包んだ男が忍び寄ってきた。仮面の男の後頭部には、黒いマントの袖から顔を出している銃口が付きつけられていた。
「き、貴様…!?」
仮面の男の声を無視して、黒いマントの男は仮面の男に言った。
「杖を捨てて今すぐ失せろ。ここで、脳天を撃ち抜かれたくなかったらな」
「…く」
仮面の男は杖を捨てて二人から離れる。迂闊に拾いに行って反撃しようにも、詠唱には時間がかかるし、その間に撃たれる。しかもここは宿屋、人も十分集まっている。騒ぎになるのは避けておかなくてはならない。マチルダの勧誘を諦めた仮面の男はそそっくさに宿屋の入り口に向かうと、黒マントの男は追加で忠告を入れた。
「もし…あの村の奴らや、マチルダさんに手を出してみろ。その時は…」
―――命の保証はしかねるぞ?
仮面の男は、何も答えないまま『女神の杵』から逃げ出した。
「あんた…どうしてこの街にいるんだ?」
マチルダは、ちょうどマントのフードを脱ぐその黒マントの男に尋ねる。髪の先がどうしてか後ろの方に沿っているサイトと違い、逆に前の方に毛先が垂れている黒い髪の毛と、端正な顔をした青年だった。
ウルトラマンネクサスこと、シュウである。
「この街にビーストの気配を感じた」
「え?」
ビースト…その意味をマチルダ
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