婚約者-ワルド-part1/任務
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紙を渡してください。すぐに例の手紙を返してくれるでしょう。それから…」
アンリエッタは自分の指に付けていた指輪をルイズの右手の中指に通した。その指輪の宝珠は、カラータイマーにも匹敵する水のように青く綺麗な輝きをしている。
「母上から頂いた水のルビーです。せめてものお守りです。売って旅の資金にしても構いません」
「姫様、こんな貴重なものを!」
アンリエッタの母、つまりかのマリアンヌ太后のことだ。そんな国の頂点とも言える方から授かった貴重なものを預かるなんてできない。ルイズは断ろうとしたが、アンリエッタは指輪をはめたルイズの右手を握ってまっすぐルイズを見る。
「いいの、黙って受け取って頂戴。これからあなたたちを危険な戦地へ送ることになるのです。これくらいのことはさせてください」
「…わかりました」
ルイズは自分の右手に装備された水のルビーに触れながら、深々と頭を下げた。
「頼もしい使い魔さん」
次にアンリエッタは、サイトの方を向いた。
「さしつかえなければ、あなたのお名前を聞かせてもらえますか?」
「え?あ、ああ…平賀才人って言います。サイトって呼んでください」
サイト?ハルケギニアでは変わった名前なので、アンリエッタは名を聞いたときは少しきょとんとしつつも彼の名前をしっかり頭の中に刻み込んだ。
「サイトさん、ルイズは私にとって大事なお友達です。いかに怪獣を従えたあの反乱軍たちでも、トリステインとゲルマニアの同盟を厄介に思っているはず。きっと僅かな隙さえも突こうとあなたたちを狙ってくるでしょう。ですから、ルイズをどうか、守ってあげてください」
さっきの話だと、アンリエッタは宮廷内でも心を許せる相手はほとんどいなかった。ルイズは今の彼女にとって、心を許せる数少ない存在。そんな彼女を結局危険な国に向かわせたことに強い責任と重圧を感じていたことが表情に出ている。
「…はい!」
サイトは真剣な顔で強く頷いて見せた。
「水のルビーがアルビオンの吹く猛き風からあなた方を守りますように…」
翌日から行われる任務において、ルイズたちが無事に戻ってくることを、アンリエッタは夜の双月に祈るのだった。
トリステイン王国の端に存在する、一つの街があった。
名前はチェルノボーグ。このトリステインにおいて最大級とされる監獄が設備されている。その牢獄の存在のせいか、チェルノボーグは地獄の代名詞的な意味合いを持つほど、民たちから畏れられる街となった。
その牢獄内にて、多くの囚人たちがそこに収容されていた。
「アルビオンの王様もこれで終わりって奴だね!」
「んだ。いやはや、共和制の始まりって奴かな?では共和制に乾杯ってやつよ!」
アルビオン王国の王党派たちの身を強く案じているアンリエッタがこの会話を聞いたら、ど
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