婚約者-ワルド-part1/任務
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った経験もある、それも見栄を張るばかりのトリステインが特に嫌うゲルマニアに身を捧げることになるアンリエッタはまさに被害者。ルイズはそんなアンリエッタを憐れんだ。
「いいの。好きな相手と結婚するなんて、もう諦めていたから…。
この同盟に快く思わないアルビオンの恥知らずたちは、同盟を白紙にするための材料を探しています」
「同盟を妨げるもの?そんなものが…」
アンリエッタはルイズのその問いに対して「ええ」を頷いた。
「私がアルビオン皇太子ウェールズ・テューダー様に送った手紙です…」
「手紙…ですか?」
「それがアルビオンの貴族たちの手に渡ったら、彼らはゲルマニアの皇室にそれを届け、同盟をなかったことにするに違いありません。
私は愚かな女だわ。この国を危機に陥れようとする要素を、よりもよってアルビオンに残していた。これをマザリーニたちが知ったら、どれほど私に失望することか…。
でもその手紙を、なんとしてもアルビオン王室が倒れる前に取り戻さないとなりません」
ルイズは、その内容のことを聞きだそうと思ったが止めにした。幼き日に交し合った友情を忘れずにいたためだろうか。それに現在のこのトリステインがゲルマニアと同盟しなくてはならない現状に障害となる内容…。アンリエッタの言う手紙の内容におおよその察知が付いていた。窓の外から光を降り注ぐ双月を眺めながら、アンリエッタは話を続けた。
「この度の任務ですが、私が信頼におけるメイジに任せようと思います。腕利の、私にとっても数少ない芯を置けるお方に…っと。いけません、これ以上話し込むと歯止めが利かなくなりそうだわ」
そこまで話すと、アンリエッタは部屋の入口の方へと歩き出した。
「そろそろ戻らないと、また枢機卿に叱られてしまうわ。ルイズ、話を聞いてくれてありがとう。ここしばらくの間で、有意義な時間でした」
彼女はそう言うと、フードをかぶって部屋を後にしようとしたが、突如ルイズが彼女の傍らに跪いた。
「姫様…その任務、ぜひこの私にも引き受けさせてください!」
「「え!?」」
サイトとアンリエッタはルイズの突飛な申し出に絶句した。
「姫様、このような私を今もなお友とお呼びいただき感謝します。ですが姫様、恐れ多いことですが私もまた、この国の姫君であると同時に、あなたという友を強く想うからこそこの依頼を引き受けるのです!!確かに私は力不足かもしれません。ですが、姫様への忠誠心は誰にも負けないと自負できます!」
「いけませんルイズ!言ったでしょう、あなたは私の大切なお友達なのよ!友達を戦場に送るなんて、友人のすることなんかじゃないわ!」
すぐに我に返るアンリエッタは、血相を変えてルイズに言った。しかし、ルイズは引き下がろうとしなかった。
「なぜです!?」
「これは真実かどうか定かではありません
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