婚約者-ワルド-part1/任務
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衛士隊が全く手も足も出ずに敗れ、再編成も困難な状況だという。国力低下が問題視されていたトリステインは必然的に他国の助力を借りることになった。無論これはよい機会でもあった。怪獣の脅威を他国に知らせることで各国に対怪獣警戒態勢を敷くことができる。だが、結果はアンリエッタやにとって望ましいものではなかった。
タバサの出身国とされている国ガリアの王ジョセフ一世。彼は全く興味を示してこなかった。それどころか、アンリエッタに対して「それはお気の毒に」と、言葉とは真逆の、何の憐みもない声で返事をした。適当に返事するだけで特にこれと言って協力する姿勢さえとってこなかった。アルビオンはというと、現在は王政を倒そうとする反乱軍のせいで内情なんて探ることもできない。さらにアンリエッタは知り合いの姫がいるという小国『オクセンシェルナ』にも協力を求めた。これは至って快く受け入れられたものの、トリステインからかなり遠い距離に位置している上にトリステイン並の小国であるため、あくまで念のためのレベルでしかない。ロマリアはブリミル教の総本山なために軍事力について期待はできない。新興国クルデンホルフも協力はしてくれているが、ハルケギニア一の竜騎士隊を持っている割に、トリステインの衛士隊の壊滅的被害を聞くと怪獣対策について消極的になった。だから一番頼れる国といえば、大国ゲルマニアだった。といっても、それは友好的な形とは程遠い。トリステインのヴァリエールとゲルマニアのツェルプストーが不仲であるように、幾度か戦争をしたことだってある。ゲルマニア皇帝アブレビト三世との会談も、腹の探り合いをするばかりだった。
アンリエッタはできればどこの国も怪獣の脅威に対して互いに、それも友好的に協力し合って平和な世界を目指すべきと考えている。だが、それは他国はもちろん自国の貴族たちからも鼻で笑われていた。国家間の複雑な内情など考えずに言った、平和ボケした妄言だと思われていた。
誰も彼も、己の権力維持に出世、要は己の利益ばかりを優先していた。誰も信用できないといった様子だった。彼らはこんな自分たちの醜い現状が、怪獣はもちろん、悪辣な侵略者に付けいれられる原因にもなっていると言うことにも、それ故にアンリエッタを笑う資格がないことに誰も気づかないままだったのである。
サイトはそれを聞いて複雑な感情を抱く。地球人も互いに醜い争いの歴史を積み重ねてきた。それは地球が怪獣や星人の被害に見舞われた頻出期時も続いていた。実際平和を望む星人を、星人を恐れるあまり地球人が殺してしまう事件さえあった。それらの間違いを経て地球人は成長を遂げていったのだが、この世界は地球と比べてもかなり出遅れてしまっていた。
このままでは、近いうちにこの世界は落ちてしまうのだ。
「姫様、お労しい…」
トリステインを守るために敵国にもな
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