婚約者-ワルド-part1/任務
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った…エルフさえも凌駕する力をな」
その時、囚人たちは目を疑った。不敵に笑い声を漏らす大男の姿が見る見るうちに大きくなっていった。いや…大きくなったと言うよりも、異形の姿へ変貌していったのだ。3メイル、10メイル、20…いや、50メイル以上もの姿に…。
「死ネ」
それが、チェルノボーグに勤める看守たちが最期に聞いた言葉だった。
その日、チェルノボーグは謎の巨大生物によって壊滅。奇跡的に生きていた生存者の証言によると、収容されていた凶悪犯たちも正体不明のメイジによって全員脱獄してしまったと言う。たちまちその知らせは、トリステイン中に恐るべき事実として知らされることとなった。
ルイズたちがアンリエッタからの任務を請け負った夜の翌日。
まだ霧が立ち込めるほどの早朝、慣れない早起きでサイトは大きなあくびをしながら馬小屋から馬を引っ張っていた。
「…」
結局ルイズはあの任務を引き受けてしまった。反対はしたのだが、自分たちもただ指を咥えたままでいるべきじゃない、そんな言葉を聞かされてしまうとサイトも何も言えなくなってしまったから、結果的にギーシュともう一人、姫が本来任せることになっていたメイジの四人の旅となった。
「なんだいサイト、朝からため息とはだらしがないぞ。気合を入れたまえ」
「お前は入れすぎだろ。馬がかわいそうだ…」
呆れながらそう言うサイトの目には、薔薇やレースで飾られてギーシュに引っ張られる無残な姿の馬があった。
「そうそう二人とも、頼みがあるんだ。僕の使い魔を連れて行きたい」
「使い魔?」
サイトは目を丸くする。ギーシュに使い魔なんていただろうか?
「何言ってるのよ。あんたの使い魔って、確かジャイアントモールだったでしょう?」
話を聞きながら、馬を引っ張ってきたルイズは反対した。ギーシュはその返答に不満そうに言い返す。
「何を言うんだい。僕に、かわいいヴェルダンデを置いて行けと言うのか?」
「あの…その…なんだっけ?ジャイアンモード?それってなんだ?」
凄まじくネーミングセンスに危険なにおいを感じるような言い方をするサイトに、ギーシュは目くじらを立てた。
「なんだね、そのいかにも音痴な歌どころか、殺人的音波を発しそうな種族名は!『ジャイアントモール』と言うのだよ!」
「はいはい。んで…それってなんなんだ?」
「ふう、やれやれ。君は何も知らないんだな。なら、実際に見せてご覧にいれよう!さあおいで!僕の可愛いヴェルダンデよ!」
ギーシュが来たれ!と両手を広げて天を仰ぐと、彼の近くの地面がボコリと盛り上がり土が弾けた。
「おわぁ!なんだ!?」
サイトは思わず飛び上がってしまった。すると、地面に開いた穴から、大きな毛むくじゃらの生き物が顔を出してきた。
『で
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