婚約者-ワルド-part1/任務
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れほど怒りを露にすることだろうか。そんなことも露知らないし、知ったことでもない囚人たちは牢獄の中でゲラゲラ笑っていた。
「乾杯って、ここは酒場じゃねえんだぞ?」
囚人の一人が呆れたように言う。それにしても、牢獄名だけあってかなりしけた場所である。刑を受けるまでずっとここにいさせられると思うと気が滅入るものだ。できることなら脱獄でも釈放でもいいから、とっととここから出て酒場の酒を飲みあさりたいと、ここにいる誰もが思っていた。
と、その時だった。
「な、なんだ貴様…うあああ!!」
さっきまでここで会話をしていた囚人たちがいる場所は地下だ。地上から降りる階段から、看守の兵士が転がり落ちてきた。すると、入口の階段からコツコツ、と黒いマントに身を包み、仮面で素顔を覆い隠した男が降りてきた。
「…っち、『土くれ』を雇うために来たんだが、いなかったようだな」
この男、この口ぶりからすると、フーケことマチルダがここに捕まっている前提でここに来たようだが、肝心の彼女はウエストウッド村にいる。当てが外れたことに男はため息をついていた。
「な、なんだお前!?」
囚人の一人が鉄格子の外から見えるその男を見て叫ぶ。
「…まあいい。お前たち、ここから出たいか?」
男は上から目線的な言い方で囚人たちに尋ねる。そう言われると、囚人たちはたちまち「当たり前だ!」とか「こんなしけた場所よりシャバの空気が吸いたいぜ!」と口々に叫び始めた。
「出るには条件がある。我らに協力してもらおう。
我らは国の将来を憂い国境を越えて繋がった貴族の連盟。時期にアルビオン王政府は倒れる。そして現存する愚かな王族を打倒し、ハルケギニアを一つとしエルフに奪われし『聖地』を奪還するのが、俺たちの目的だ」
「ってことは、あんたはアルビオンの貴族派ってとこか。なら話は早い!乗ったぜ!」
「ここから出してくれるってんなら、なおさらいいぜ!なんでも言うこと聞くぞ!」
たくさんの囚人たちが話に乗っていくが、中には参加を渋る者もいた。
「おいおい!エルフって正気かよ!千のメイジをたった一人で倒せる化け物どもにどうやって戦争で勝てって言うんだよ!」
エルフがメイジを圧倒すると言う話はすでに常識としてハルケギニア中に伝わっていたようで、この男もそれを熟知している様子。仮面の男に従うことを渋る理由もそれにあった。しかし、仮面の男はふ…とおかしそうに笑った。
「安心しろ。今の我らは、エルフ共の使う先住魔法など恐るるに足らん。塵も等しい。現に俺は、ある方から一人どころか、何千ものエルフを簡単に蹂躙できる力を授かったのだからな」
「…信じていいんだな?」
正直そのエルフを凌駕すると言うその力に疑いがある。でも、囚人は仮面の男の言葉に嘘だ!と反対できなかった。この街の牢獄に引き渡されるような
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