魔人‐ファウスト‐part2/死を運ぶ魔人
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ちゃ悪くないだろ?」
にこやかに言うサイトだが、シュウは表情一つ変えなかったが、どこか影のある物言いでサイトに言った。
「…俺に『絆』なんか似合わんな…」
何か意味深が言葉をつぶやくシュウ。なぜか、表情に重いものを感じる。いや、もう一つ忘れていることがあった。
「ああそうそう!俺の名前はサイト!平賀才人だ!覚えてくれ!」
「………」
再び背を向け、シュウは懐から取り出したブラストショットを天に向けて撃った。すると遥か彼方の上空から、不思議な石像が飛来し彼の前に浮遊した。
(なんだこれ…!?)
サイトたちは、シュウが呼び出したこの謎の石像に対して驚くばかりだった。一体この石像は…?
シュウはその石像に近づくと、白い光に包まれその石像の中に吸い込まれた。石像はシュウを吸い込むと、彼の変身したウルトラマンと非常によく似た模様をその表面に刻み込み、一機の鮮やかな飛行機のような姿になる。サイトは、思わずその石像『ストーンフリューゲル』に近づく。
「サイト!」
危ないぞ!とギーシュが声を上げたが、サイトは不思議なものに導かれるようにストーンフリューゲルに触れた。触れた途端、彼の腕に稲妻が走った。
「っぐあああ!!!?」
瞬時に、彼の頭の中にあらゆる映像が流れ込む。
暗闇の道をただ一人歩く少年。
森の中で起こった生と死しかない世界で奔走する少年。
銃撃と爆風によって死んでいく人々。
彼に対して暖かな笑顔を向ける、可憐な少女の姿。
その少女を抱きしめながら悲しみの海に沈んでいく青年。
そして、最後に見えたのは…奇妙な様式の『遺跡』。
「はあ、はあ…」
「大丈夫、サイト?」
汗ばみながらその場に尻もちをつくサイトを心配して、未だ惚れ薬の効果が切れていないルイズは声をかける。
「大丈夫だ…悪い、心配かけて」
サイトたちが見守る中、ストーンフリューゲルは空に浮かぶと、遥か彼方の夜の空へと消えていった。サイトたちは、ストーンフリューゲルが飛び去って行った空をただ見つめていた。
俺はこの日、偽物なんかじゃない…本物でありながらその本質が悪と断定できるウルトラマンが存在していたことを初めて知ることになった。同時にあいつらの存在が、ウルトラマンの存在と正義を否定し穢しているかのようで、許せないと言う気持ちを強く抱いた。
そして、俺と同じウルトラマンとなる青年、シュウと初めて会話を交わした。
彼のことはこのときよく知らなかったが、あの石像に触れたときに見えた映像を見たとき、すごく重い何かを感じた。
けど俺は、彼が頼れる味方になってくれるはずだ信じた。そうでなければ、俺たちを助けてくれるはずがない。そう思ったから。
…でも、ファウスト。あの黒い巨人は一体…?
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