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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
召喚者-ティファニア-part2/もう一人の地球人
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そう尋ねたマチルダだが、シュウは彼女たちにこう言い捨ててきた。
「泣き言を言えば俺は帰れるのか?それに………俺に家族はいない」
 そう告げた彼は、鉄の乗り物―――後にバイクと言う名前だと聞いた―――に積んであったいくつかの風変わりな荷物を持って、自分の寝床へとテファに案内されていった。
(…こいつもまた、孤児のようだね)
 マチルダは、妹分に案内される彼の、どこか強い孤独感のある後ろ姿を見てそう思った。
月が一つしか存在せず、怪物と戦う組織にいたと語る青年。それも自分に家族がいないと、はっきり言い切った。

 シュウはこうしてウエストウッド村に迎え入れられたのだった。




 信じる信じないかは別において、シュウの話には信憑性は存在していた。彼が所持していた武器や服、私物は全部ハルケギニアでは見かけないものしかなかった。これらを売ったらこの子たちの生活の何か月分の金が手に入るだろう…とマチルダは自分の盗賊としての癖のあまりそんなことを考えていた。そして村で三日ほど過ごしている間の彼を遠くから観察して、彼が言っていた言葉は演技ではなかったことも悟った。
 彼は掃除・薪割り・洗濯も何も文句を言わずにこなしてはいた。一人暮らしの経験があったためか、ある程度はできるそうだ。それについて問題は何もなかったのだが…。
 少なくとも再び自分が出稼ぎ…もとい盗賊稼業へ出かける中、彼はあまり村の人間たちとは馴染もうともしていなかった。軍人気質だからか迂闊に他者へ心を許さないことを心掛けた結果が、子供たちからの反感を買っていたのだ。何せその気質が、テファを怖がらせていたのだから。いかにある程度のことができるにしても、他者と触れ合おうとしない。これはこれで問題だった。
 そして同時に、テファもシュウの態度に怖がる以前の問題を抱えているために、シュウとあまり打ち解けることができないでいた。一番の理由は、彼女がハルケギニアにおいて恐れられている種族『エルフ』の血を引いている身だからだ。それも純潔のエルフではなく、今は亡きメイジで人間の父とエルフの母を持つ『ハーフエルフ』なのだ。シュウはそのことに触れてきていない。ハルケギニアでは恐れられているが、彼の地元にエルフは存在していない。逆にいないはずの存在がいると言う事実が彼を警戒させ、触れようともしないでいるのではと思った。

 それでもやはりこれではいけないと思い、彼女はシュウに何か話をしてみることにした。タンクトップ姿で薪割りをしていたシュウに、声をかけるテファ。
「あの…シュウ…?」
「…なんだ?」
 斧を置いてシュウはテファをじっと見てくる。高圧的な空気を漂わせるから、どうも話しかけ辛い。でもテファは彼と話す必要があると思うし、なぜ彼が他人を避けるのか、いつまでかはわからないが共に暮らして
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