盗賊-フーケ-part3/二大戦士、異世界に降臨す
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とは会うことになるかもしれない。いや、間違いなく会うことになる。不思議と、サイトは明確な根拠というものを形にできないが、それでも再会することになると確信した。
アルヴィーズの食堂の上の階は大きなダンスホールになっている。今夜のフリッグの舞踏会はそこで執り行われた。着飾った生徒や教師が、豪華料理を並べたテーブルの周りで歓談中だ。笑顔と活気のある光景。その一方でサイトはバルコニーから外を見ていた。
「にしても、今日はおどれーたな相棒。相棒とはまた別の巨人が現れるなんてよ」
デルフが鞘から顔を出してケタケタおどけるように言う。が、一方でサイトは盛り上がった素振りさえなかった。
「…」
「相棒?どうしたよ」
「地球に帰る手がかり、見つかったと思ったんだけどな」
夜空の星を暇そうに数えながらサイトは呟く。
「いいじゃねえの、これもこれで。わからない方がわくわくするだろ?」
人の気も知らないで口の減らない奴である。とはいえ、根は陽気で楽しい男の性格をしている。今のような気分だからこそデルフの存在は都合がよかった。
『サイト』
ふと、ゼロがサイトに話しかけてきた。
「ゼロ?」
『お前、フーケ捕縛任務の時に言ってたよな。「血を吐きながら続けるだけの悲しいマラソン」って』
「あ、ああ…それがどうかしたのか?」
『どこで聞いたんだ?』
「えっと、母さんが…といっても義理だけどな。昔の想い人から教えてもらったってさ」
昔の想い人…ね。ゼロはなんとなくそれを聞いて納得した。
(セブンが宇宙警備隊での訓練を見ていた時、俺や新人たちに贈った言葉をどうしてこいつが知ってると思ってたら…義理の母親、ね)
この言葉は、実はゼロ自身も聞いたことがあったらしい。今もそうだが、当時のゼロは実力至上な考えを持っていたからどうでもよく思っていたためずっと忘れていたらしいが、サイトがあの時言ったことで思い出したらしい。全く異なる星なのに同じ言葉をどうして知っているのか気になったが、セブンのかつての功績を聞き及んだことのあるゼロはすぐに理解した。そして例の言葉をくれた母がいるということに、彼はサイトに問いてくる。
『……お前、故郷に帰りたいのか?』
なんだかやけにしおらしい口調。サイトは不思議に思った。
「それはまぁ…そうだろ。帰りたいってのが本音だ。でも…お前とは分離できないままだ。ずっと二人ともこのままっていくわけにもいかないだろ?二人とも別々の故郷に帰れないじゃないか。だからせめて方法とか手がかりだけでも知っておきたかったんだ。この星は地球からも光の国からもどれだけ離れてるかもわからないし」
すでに地球は宇宙へ進出できるまでに文明が発展している。もしこの星がどこにあるのか判明していたら、地球へ帰るのに苦労などしない。それはゼロ
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