王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
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だった。
「な、なんと…この国の象徴たる城に傷が…!!」
「城の石はスクウェアクラスのメイジを何人も動員させて作り上げたもの。その一部分を切り落とすとは…!!」
しかも危ないことに、姫君であるアンリエッタがそのバルコニーの近くでゼロとディノゾールの戦いを見ていたものだから、危うく命を落としかけたとも言えた。
再び、ディノゾールの舌を使った切り裂き攻撃が炸裂する。前転して避けたり、バック転しつつ避けたり、時に飛び上がったりしながら回避していくゼロ。だが、それを続けていくうちに街が瓦礫の山になっていく。
『ちょ!ゼロ!街のことも気に掛けろよ!』
サイトがゼロの中からダメ押しする。
「仕方ねえだろ!第一ぶっ壊れたんならまた直せば済む話じゃねえか!」
そんなあっさりと言い捨てていいことでもない。サイトは抗議しようとしたが、ゼロは話を聞かず、反撃の機会をうかがうためにディノゾールの斬鉄攻撃を避け続けていく。
「ちょと!少しは街に気を遣いなさいよ!」
ルイズがキュルケ・タバサと共にシルフィードの上で戦いを見ていたが、ゼロの荒い戦い方で街が壊れていくのを見て憤慨した。
街の人々は巨人と怪獣の戦いにハラハラしながらこの戦いが早く終わることを願い続けた。
『待ってくれゼロ!まだ逃げ遅れた子供がいる!』
サイトがそう言った時、ゼロの戦いの場のど真ん中にまだ幼い少女が恐怖のあまりその場に膝をついて泣き続けていた姿が目に入った。必死こいて逃げることさえも、足がすくんで動けず、しかも一人ぼっちの状態。無視してはならない…と普通なら思うだろう。
「今はそれどころじゃねえ!後にしろ!」
なんとゼロは、その少女の存在を無視しようとしたのだ。
『何言ってんだ!あの子たちの命がかかってるんだぞ!』
サイトが信じられないと声を上げたその時だった。ディノゾールの攻撃が、その動けない少女にまで及ぼうとしたのだ。もう放っておくことはできない。
『間に合えええええええ!!』
「な!?」
サイトはゼロの中で、その手を伸ばそうとした。すると、彼と同化していたゼロの体が、ゼロ本人の意思と関係なく動き出した。超特急で走り込み、地面を転がりながら少女をその手の中に放り込んだ。
「デュ!?」
予想通りゼロは子供を庇ったことで、肩に切り傷を負ってダメージを受けてしまう。偶然、アンリエッタは城からその光景を目にした。
「たった一人の子供のために自分が傷つくなんて……」
アンリエッタはこの光景に対して、巨人が敵ではないと言う確信を抱いた。国の次代を担う者としてはいささか軽率かもしれない。それでも彼女はそう思ってしまったのだ。
n傷の痛みをこらえながらも、サイトの意思で動くゼロは、その子供を手に乗せ、避難していた人々の前へ飛び降りて、その少女を地面の上に
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