王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
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惜しさのあまり他人を見捨ててしまう者もいた。
「あ!」
ディノゾールの攻撃から逃げる小さな男の子が、躓いて転んでしまう。ちょうどその時、子供だろうがお構いなしにディノゾールの口から斬鉄が飛ぶ。少年はもうだめだ!そう思って目を閉じた。しかし、自分が誰かに持ち上げられ、運ばれていくのを感じた。
青い模様の、変わった服を着た青年…サイトだった。街の人たちの避難を少しでもと、そして何より戦うために一人ここに残っていたのだ。
「大丈夫!?」
「う、うん!」
怪我がないか、サイトは尋ねると少年は頷く。
「さ、早く逃げて!」
背中を押すように少年の背を軽く叩くと、少年は「ありがとう!」とサイトに礼を言って駆け出して行った。
「…」
自分にとってディノゾールは、自分に地獄を始めて見せた恐るべき怪獣。見逃せば、あの時の自分と同じ痛みを味わう人が増えていくばかりだ。
『サイト、覚悟はできてるよな』
覚悟を問うゼロの声が聞こえてくる。
「ああ、ゼロ。力、もう一度貸してくれ」
そう、今ディノゾールに立ち向かえるのは自分たちだけだ。意を決したサイトは、左手を胸に当てると、天を仰ぐように掲げた。すると、あの時と同じように左腕のブレスレットの形をとっていたテクターギアが本来の形へ変形しながらサイトの体を包み込んでいった。
「私は、この城を離れることはできません!あなたたちから先に城を離れなさい!」
トリスタニア城。アンリエッタは自室のバルコニーから、火の手の回る城下町を見つめ、自分だけ安全な場所に移動することはできなかった。
「しかし、姫様はこの国になくてはならぬ存在なのです!ここに残るなど、危険極まりな
い行為ですぞ!」
マザリーニは必死の説得を試みるも彼女は頑として、バルコニーを離れようとはしなかった。その時、目映い光が突然現れ、一瞬彼らの視界を奪い去る。
「え?」
恐る恐る目を開くと、光の柱の中に城を背に立つ鎧を着こんだ巨大な背中が目に入った。光の柱はたちまち、テクターギアをまとったウルトラ戦士『テクターギア・ゼロ』の姿となって城の前にその雄々しい姿を現した。
「もしや、あの巨人が…魔法学院を救ったと言う巨人…!」
「デュ!」
ガッチリと、左拳を左脇腹にひっこめ、人差し指と中指を突き立てた右手を突き出す形でファイティングポーズをとる。
「キシャアアアアアア!!!!」
ディノゾールは突如現れこちらを見るゼロを敵と判断し、先手を打つと言わんばかりに舌による斬鉄攻撃でゼロを切り裂こうとした。スパッ!とものを斬る音が鳴り、ゼロはとっさに避けた。
間一髪か。ゼロに傷はなかった。しかし、ゼロの背後に建っていた城のバルコニーが、ポトリと落ちて砕けた。これは城にお勤め中の貴族にとって冷や汗をかかされるもの
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