王都-トリスタニア-part2/傲慢なる戦士
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部下に怒鳴る。
「しかし、勝てないのはワルド隊長もご承知のはず…」
「ぬう…」
ワルドだって、ここで死ぬことはできなかった。彼には死ぬに死ねない大きな理由があった。それを果たすまでは、彼も死ねない身だった。
「せめて民や怪我人を待避させろ!まず王宮にいる姫様たちを最優先だ!」
ワルドの決断は犬死にではなく、救出だった。しかし、民より王宮の者たちを優先、どこか微妙なものに聞こえるかもしれない。だが民よりも貴族の方が政治の手腕に富んでいる。事後のことは彼らでなければ解決できないことが多いのだ。兵士たちは城の貴族たちをまず安全の場所に避難させた。
「サイトは!?サイトはどこに行ったの!?」
シルフィードに乗っていたルイズたちだが、シルフィードが空を飛び始めたときにはサイトの姿がなかったことに気づく。
「ダーリンがいないですって!?なんでこんな時に…?タバサ、もう一度降りて探したら…」
「だめ、危険」
キュルケがサイトの捜索をすべしと提案したが、タバサはそれに反対した。ディノゾールの攻撃がいつこちらに向くかわからない。その状況下でサイトの救出は困難だった。探している間にこちらがやられてしまう。
「でも、使い魔を見捨てるなんてできない!」
「それでもダメ、あなたが死ぬだけ」
それでも下ろすようにルイズがタバサにいうが、タバサは聞き入れてくれない。
彼女たちがもめている間にも、ディノゾールの攻撃によって町が荒れていく。神聖な始祖より与えられたと言ってもいい美しかった町並みが、醜い怪物によって打ち壊されていく。
その魔の手は、トリスタニアの城の方面にまで及ぼうとしていた。城から出撃した竜騎士のメイジたちがディノゾールに向かってありとあらゆる魔法を使って攻撃を仕掛けるが、ディノゾールは全くものともしない。風の魔法で切り裂かれても、炎の魔法で体を焼かれても全く持って動じなかった。お返しにディノゾールは逆に彼らに斬鉄を放って切り落としてしまう。斬鉄は、城の周りの地面さえも抉った。
「城が!姫様!」
城の付近まで攻撃され、ルイズの冷静さを奪い去る。
「ルイズ落ち着きなさい!」
キュルケがルイズに落ち着くように言った。
「だけど…!!!」
「あなたが一人熱くなったって状況は変わらないわ!ここはタバサの言う通り、避難しておきましょう」
「………………っ」
シルフィードによって避難先の街郊外へ向かうルイズたち。ルイズは悔しかった。使い魔であるサイトを見つけてあげられない上に、この国の手腕たちを助けられない無力な『ゼロ』の自分を、酷く恨んだ。
「逃げろおおお!!」「ママああああ!!」
民たちは一目散に逃げ出した。しかし、中にはディノゾールの斬撃により、無残に命を落とした者もいれば、命の
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