暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第202話 忍び寄る影
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 今、視界に広がるのは夜の闇、ではなく 可視光線の波長の中間の色である緑色の世界が広がっている。それは最も知覚し易い色であるとされている色であり、暗視装置の画像の類は、大抵は緑色に調整されているらしい。

 シノンは、その暗視モードに変更した愛銃へカートUのスコープを右眼で覗き込んでいた。

 大きな砂丘の天辺にひっそりと立つ人影のみであり、それ以外、この広大な砂漠エリアには今のところ動くものはない。人影は、時折吹き抜ける風が背中まで伸びている黒髪を揺らしている。
 その髪型と色から判る様に、彼はキリトだ。その佇まいからは、兵士と言うよりは幻想世界からやって来た妖精の剣士に思える。

 そして、もう1人の彼は視界範囲内では捕らえられない。どこにいるのかも判らない白銀の銃士。束ねている銀色のポニーテールが、闇夜に一際輝きを放っているだろう、と思えるのに、彼は リュウキの姿は見えなかった。
 だが、それでも シノンは何も心配はしていなかった。

 南西から闇風が そして何処からか、あのボロマントの2人組が恐らくこの場所を目指して接近中のはずだろう。位置情報に関しては、キリトのみしか 知られていないが キリトの傍には洞窟がある事も当然ながらバレている。故にこの場所にリュウキやシノンの2人が潜伏している、していた、と言う事は、闇風は兎も角、あの2人にはバレている事だろう。

 だからこそ、勿論場所の移動は キリトやリュウキだけではなくシノンもしている。

 だが、『袋小路であもある洞窟の中に、そして その周辺に留まっているとは思えない』と言う心理の裏を掻いて、シノンが狙撃位置(スナイプ・ポイント)として選んだのは、洞窟の傍にある低い岩山の頂上だった。

 この場所であれば、地上からは見つかりにくいし、そして 狙撃手(スナイパー)としては必須条件と言える周囲の索敵ができるこの場所、遠くまで見渡せるこの場所に限る。
 その手のポイントは、この周辺に無数に点在しているし、即座に絞り込む事などは 衛星スキャンを常時展開していない限り無理だろう。
 勿論だが、危険性はある。低いとは言え、頂上から地面までは10m程あり、vitality(バイタリティ)、《VIT(生命力)》の低いシノンは気軽に飛び降りるわけにも行かない。更に言えば 上り下りできるルートも一本だけであり、もしも、敵に接近さらえれば、退避もできずに撃たれるしかない。

 そう、もしも 接近されたのが あの男(・・・) なのであれば……、恐らくは終わり()だろう。

 だが、今はネガティブな想像は全て捨てるべき時だ、と心をフラットに保ちながらライフルを右に旋回させた。
 確かに恐怖は今だ自分の中にも存在している。意識のない自分の身体に佇んでい
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