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手のなる方へ
4部分:第四章
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が出ても」
「いいってことでね。それでね」
「ええ」
 ここで話を変える恭子であった。須美もそれに乗る。
「明日の授業何だったっけ」
「明日の授業?」
「明日加納先生お休みじゃない」
「ああ、そうだったわね」
 学校の授業の話になってきていた。
「明日は」
「それじゃあ明日の理科の授業は誰なの?」
 恭子はこう須美に尋ねた。
「加納先生お休みなら」
「中森先生じゃないの?」
 須美は首を少し捻ってから恭子に答えた。
「代打ってことでね」
「そういえば中森先生って理科の先生だったわね」
「あれっ、知らなかったの?」
「知ってることは知ってたわよ」
 このことは少しムキになって答える恭子であった。
「学年の副主任なのに。知らないわけないでしょ」
「そうよね。だからおかしいと思ったんだけれど」
「ただ授業を受けたことがないだけよ」
 それだけだったのだ。
「一年も二年も加納先生だったからね」
「そうだったの」
「須美は一年の理科の先生中森先生だったのね」
「ええ、そうよ」
 恭子の言葉に対して答える。
「だから知ってるんだけれどね」
「中森先生の授業どう?」
 次に恭子が気にしたのは授業についてだった。これの良し悪しで成績も大きく変わるから当然であった。恭子の問いはそれなりに切実であった。
「ほら、西田先生の授業なんか」
「ああ、ジャマイカね」
 ここで須美の顔が歪む。西田という名前を聞いてすぐに仇名を出した。随分と悪意のある仇名ではある。どうやら好かれている教師ではないらしい。
「全然わからないじゃない」
「あいつの授業はわからないので有名じゃない」
「まあね」
 須美のその嫌悪感丸出しの言葉に対して頷く恭子であった。
「これ先輩達も言ってたわよ」
「そんなに有名なの」
「あいつの授業は聞くな」
 須美はこうまで言う。
「そう言われていたのよ」
「確かに酷い授業だけれどね」
「まず言ってることが教科書を棒読みしているだけ」
 最初からかなり酷い授業であることがわかる言葉であった。
「黒板に向かってそれを言ってるだけじゃない、あいつの授業って」
「そうよね。本当にわからないから」
「だから。先輩から聞いたのよ」
 須美は先輩の言葉を恭子に対して話すのだった。何度も。
「あいつが数学の先生になったらもう授業は聞くなって」
「聞いちゃ駄目なのね」
「それより自分で勉強した方がいいってね。絶対にわからないからって」
「昔から駄目だったのね」
「そう、最悪だったらしいわ」
 所謂不適格教師である。我が国の教育界の恐ろしいところはこうした無能な教師や人格障害者の教師が全く淘汰されたり糾弾されることなく教壇に残り続けていることである。教育界の腐敗はこの村においても深
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