第105話 終わりが始まるようです
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るでござるよ。」
「生身の悲しさアルね……任せたヨ。」
楓が"天狗之隠蓑"を一振りすると1m四方程の風呂敷が十人の頭上を覆うほどにまで広がり、
床に落ちたそれを拾うと既に皆の姿は無く、いつの間にか縮んだのかマント代わりに首元に捲き、
小走りで刹那達の後を追った。
「楓、移動方法は聞いていますか?」
「そこまで考える面子ではないでござるよ……。と言っても、この五人なら生身の方が速い。」
「故に手練れであるお主らだけを残したのだがな。ならば行くぞ。」
ゾワッ!
号令とも取れない確認を合図に、四人は高速移動用の強化を使い移動を開始する。
尤も、刹那は翼併用の『空神』で宙を飛び、楓は長距離移動の瞬動で一々建物やら道やらを
破壊しながら、小太郎とゼルクは足元から湧き出る黒い何かで滑る様に中空を移動し、松永に
至っては爆風を使って移動しているので、高速移動とは言え目立って仕方ない。
「オッサンマジうっさすぎやろそれ!」
「松永久秀、五月蠅いので死んでください。」
「これはまた直球だね刹那嬢。しかし、もう使う必要も無いので死ぬ訳にはいかないよ。」
ヒュッ!
「まったく……。」
一般人に不審がられるのも数秒。あっという間に外郭に着くと同時、躊躇いなく松永は
浮島から飛び下り、一瞬で雲海に消えた。刹那とゼルクも遅れず続いたが、楓と小太郎だけは縁で
立ち止まり、下を見て苦笑いした。
「おぉお、こらキッツイなぁ。」
「……これを躊躇いなく行くとは。でも続かないと移動も出来なくなるでござるからなぁ!」
バッ!
意気込み飛び降りると、頬を激しく叩く風と共にゾワリと背筋に悪寒が走る。
魔力の素である"魔素"が濃く大量にある、環境が地獄に近い場所に生身で近づいただけで、
鍛え抜いた楓でさえ恐怖により体が竦んでしまう。つまり――
「落ちたらただでは済まないでござるなぁあああ!?早くするでござるよまっつーーん!!」
「君まで私を"まっつん"と呼ぶのか。悪くはないが忍としてどうなのかね。」
ギュルルッ
「おぉぉ、悪寒が消えた。流石は地獄の師団長でござるな。と言うか何故先に降りたのか!?」
どうしようもない生命の危機を感じ、珍しく取り乱した楓を黒い風が覆うと、生命を犯す気配が
消え、更に視界も明瞭にした。しかしそのせいで落ち着くべき所を見失った楓はそのまま松永に
掴み掛からんばかりに詰め寄る。
「何、下にこれらが見えたのでね。君が来るより先に葬った方が都合がいいと思ったのだ。」
「これら……とは、この骨の山々の事でござるか?」
冷静になり周囲を見渡すと、見上げる様な物から
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