月下に咲く薔薇 13.
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が察する。
「そもそも。俺が着目しているのは、奴が持っている『ぶれない』という特徴。それだけだ」
クロウとロックオンは、瞬時に顔を見合わせた。スメラギ達への報告の際、アイムにそういった気質がある点が指揮官達の間でも浮上していたからだ。
「聞けば、ZEUTHにいた『傷だらけの獅子』と『悲しみの乙女』のスフィア保持者には、1本通す気持ちの強さがあるそうじゃないか。スフィアに関するZEUTHの話は興味深い。どうやら、保持者の気質というものがかなり重要な意味を持つようだ。…クロウ、同じ特徴ならお前にもある」
黙したまま、クロウは瞬きで会釈をした。
「だったら、『偽りの黒羊』とか言うスフィア持ちのアイムも、同類と考えて差し障りはないだろう。奴は遠回しな手を使う時もあるが、今朝からのバラ騒動は遠回しすぎるし複雑だ。奴が持っている一途さとは上手く噛み合わん」
しんと静まり返った室内で、ロックオンがようやく口を開く。
「…スフィア保持者全員の共通項か」
「ああ。スフィアとは一体何なのか。そいつがはっきりしない事で、今後も推理の誤差は幾らか生じる。やむをえん、材料が少ないんだからな。だが、アムロやロジャー、万丈達が重要視するポイントである事は間違いないんだ。今回、ZEUTHが積み上げたものを信じてみるってのはどうだ」
スフィア保持者としてアイムを分析する。その発想は、クロウの中には存在しないものだった。
いや。単に、本気でアイムの本質と向き合う気概がなかっただけ、というべきか。ストーカーの心理に通じている借金持ち、流石にそんな自分は目指したくない。
「お説ご尤も」ミシェルも感服し、自説を肯定された事で更に自信を得る。「折角だからついでに訊いちゃいますけど、アイムの言っていたっていう実験の話、本当だと思いますか?」
「いや。そう言うしかなかったから、得るものがあったと通しているだけだろう。成功の話が破綻している分、クロウも現場で疑問には思っていたようだしな」
「…何てこった」舌打ちをしそうな勢いで、ロックオンが顔を歪める。「俺達は、ライノダモン消失とアイムの話をもう一度洗い直さなきゃならないのか」
虚言家とは違う別の転移能力者。その存在が浮かび上がり朧気な形を取り始めた事に、クロウ達は安堵と動揺が同時に沸き上がる様を意識せずにはいられなかった。特にクロウの想像には、不吉なイメージとして青い色が纏わり付く。
青色系は好きな部類に入るが、今後は当面警戒色とするしかない。
「ま、お前さん達が何を抱え込んで勝手に動き出したのか。俺としては、今ので十分な説明になっていると思った。大塚長官には、その内容を報告させてもらう」監視役たる隼人の中で、ここにいる者達の自主行動が密かに許された。「アイムとバラ、それにティファの話は聞いていたが、想像してい
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