月下に咲く薔薇 13.
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ものに近く、後者は当然、研ぎ澄まされた状態で切り抜け彼等の命が直接獲得した至宝の経験を指す。
出撃の度にチームワークと経験は磨かれ、遂には技量など備えていて当たり前と受け止めている者達が、多少の思想の不一致には目を瞑り敢えてチームを組むという難題を克服した。
特筆すべきは合体の際のマニュアル操縦で、不測の事態の回避と時短を目的に、彼等3人はほぼ毎回ゲットマシン3機による合体を手動で行ってしまう。その無謀加減と精度は、ZEXIS広しと言えどもゲッターチームしか持ち合わせていない。
それ故に、彼等の嗅覚は別格なのだ。
ゲッターチームとは、何と破天荒な試みだろう。竜馬が罵詈雑言を吐く早乙女博士という人物に、クロウは少なからず興味が湧いている。
似ていなくもないのだ。捨てるものと執着するものを大胆に切り分け、パイロットに未踏の道を歩ませようとするところなど。スコート・ラボを仕切る豪快で繊細な美しい彼女に。
尤もチーフは、クロウにゲッターチームの内的バランスまでは求めていないと思うが。
「今は、そのくらいの慎重さが必要かもしれねぇ。俺がこうしていられるのは不自然だってのも事実だしな」自分の中にある疑問を、クロウは率先して口に出す。「もし、俺の体に何か仕込まれてたりしたら、それこそ大変…」
そう、大変。一大事だ。
言いながら、異世界で起きた事が気になってしまい、つい右手の中指を折ってその指先をしげしげと覗き込む。
「まさか…。何かあったのか!?」
不安を嗅ぎ取ったロックオンが、再びクロウの右手首を掴んだ。
「チクッとしただけさ。別に痕もないし」と反論し、クロウは後から加わった隼人の為に再び順を追って説明する。
ロックオンも自らの体験の全てを語ると、続いてミシェルが推測の一部始終を明かした。
「ここまで聞いて、お前はどう思うのだ? 隼人」
誰もが訊きたいその問いを、敢えてクランが仲間に押し出す。
ZEXISの中でもとりわけ思慮深い男は、最初ただ壁にもたれクロウ達を見比べるばかりだった。そして、「アイム以外にも誰かいる」とミシェルの結論を噛みしめながら繰り返す。
「隼人さん…」
余程彼の推論に興味があるのか、ミカの視線は熱かった。
「いる、と考える方が妥当だろうな」隼人は、簡潔に結論から入る。「ミシェルの言う通り、決定的なのはクロウの扱いだ。アイムの目的は、おそらく今も変わっちゃいない。だから、他人の手に渡るのは非常に都合が悪いと考えもする。そういう発想で奴が動いていると仮定すれば、結構すっきりしないか」
「すっきりって…」クロウは、ついぽかんと口を開けた。
簡素化するまで削ぎ落とす為には、嘘を見破る必要がある。その過程で、皆はアイムの嘘に翻弄されてきたというのに。
周囲の戸惑いを、空気の重さから隼人
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