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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 13.
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転移を安易に使ってバラを配り、クロウの足止め目的でショッピング・モールにいた時はアイムを手伝った。ただ、今までの行動を全く評価はしてもらえない。そういう存在って事」
「おい、待てよ。それじゃ…!!」
 クロウとロックオンが、同時に腰を浮かせた。
「ああ、間違いない。アイム以外にも誰かがいる。転移能力を持った誰かが。俺達は、そう仮定しなければならないところに立ったんだ」
「冗談じゃないぜ、全く!」そのまま立ち上がり、ロックオンの右手が空を掴む。「アイム以外の敵だって!? そんな奴まで、バトルキャンプを自由に出入りしてるのか」
「勿論、今のは仮定の話だ。断定するのは早いと思うし、それは俺の役目じゃない」その点を、ミシェルも明確にした。「ただ、俺達が想定すべきは、常に最悪のシナリオじゃないか」
「ああ、まぁ…」
 先程オズマが唱えた、最悪のシナリオという響きは重い。腰を落ち着かせるロックオンとクロウに目線を合わせたまま、今度はミシェルがすっと立ち上がる。
「何しろ俺達には、既に一つ心当たりがある。例えば…」
「…『シンフォニー』…」
 呟いたロックオンから、急速に血の気が引いてゆく。
 その名を聞いた途端、クロウも内に生まれた違和感が溶け薄らいでゆく事に驚いた。
「なるほど。奴は勘定のうちに入れるべきだな」にやりとして、クロウもミシェルに習い自分の考えの整理にかかる。「俺達に付き纏う事ができれば、龍牙島やZEXISの秘密には随分と詳しくなれる。善意を向けている訳じゃないのは、俺達が待ちぼうけを食わされた時点で立証済みだ」
「そういう事。或いは奴も、ティファが自分の正体を探っていると気づいているかもしれない。花を贈り、アイムの気を引きながら、能力が減衰しているティファと俺達の混乱を企てた。…そんな推理が成り立たないか?」
「ああ」
 納得すれば、相槌一つにも一層力が入る。
 侵入する能力者と探る能力者。おそらく、両者による駆け引きは既に始まっている。
「私としては、シンフォニーとバラの贈り主が同じである事を望むぞ」唇を微かに尖らせ、クランが膝を叩く。「ZEXISに悪意を持つ転移能力者など、そう沢山いて堪るか!!」
 不意にドアをノックする音がして、室内に緊張が走った。
「誰か来る予定は?」
 立ち上がりかけたロックオンを制止し、ミシェルが相手を確かめに行く。
 ドアを細く開けると、その向こうに立っていたのはゲッターチームの隼人だった。容易に思考を読ませない表情のまま1人で出入りの為の空間を占領し、室内にいるZEXISを数え始める。
「1、2、3、4、それにミカで5人か」
「ええと、ご用件の方は? ゲッターチームは3人揃って子供達の護衛を買って出た、と聞きましたが」
 けげんそうに尋ねるミシェルへ、「俺の代わりをキリコが
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