月下に咲く薔薇 13.
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ン、そしてミカの3人は、静かな闘いに挑む2人をただ見守るしかなかった。
やがて、ミシェルがふぅと息をつき常態に戻る。次に力を抜いたのは、ロックオンだ。
「何か忘れちゃいないか? お2人さん」クロウが2人を咎めるように、腰に手を当てずいと前進する。「俺達だけ置いてけぼり、ってのは無しにしようぜ。ZEXIS全体で支え合おうって話になったばかりだろ」
「…確かに」
ミシェルが目を伏せ、続いてロックオンが「こっちだ」と気を取り直し手招きする。5人は再びクランの部屋に戻る事なく、今度はクロウ達の2人部屋に入った。
まず何より先にロックオンは、クロウをベッド・サイドに座らせる。
向かい合わせになるよう、もう1台あるベッドに腰を下ろしたのはミシェル。2脚ある椅子には、クランとミカが腰掛けた。ミシェルの隣に行くかと思えば、ロックオンはクロウのすぐ右隣にそっと尻を落とす。
形はやや歪だが、5人で円座を組もうという意図だ。全員が自分以外の人間に気を配り、異変の瞬間に何が起きるのかを見届けよう、との構えでいる。
クロウが知らない40秒間を、仲間達がどのような思いで過ごしていたのか。円座が多くを語ってるだけに、自然と神妙な気持ちになる。
「私までついてきて良かったのかしら」
慎重に行動したいが故の配慮として、ミカが尤もな質問から始める。
「問題はないぞ」と、クランが頷いた。「むしろ、あのタイミングでよく通りかかってくれた、と感謝しているのだ」
ミカが、クラン、ミシェル、ロックオンと顔を見渡し、最後にたった40秒で生還した男の顔をちらりと覗く。
「…ねぇ、私だけ話が見えないんだけど。私とここにいる人達は、クロウの転移についての驚き方が違うのね。何故?」
「じゃあ、君の為に最初から」
事情が全く見えていないミカに、ミシェルとロックオンが交互に今朝から起きた異変の全てを話す。その上で、眼鏡の少年スナイパーが「正直、さっきのは完敗だ」と付け加えた。「俺達が側にいるのに、前兆すらなくいきなりクロウが消えた。現れる時も同じだ。まるで、切り取ったものを外したり付けたり。あんな消え方だと、誰が狙われているかがわかっても守りようがないな」
「ああ」と、ロックオンの左手が右の拳を受け止める。「クロウを帰したのは、何かの警告か? ティファの話を聞くな、みたいな」
「守りようがないって? 何とかしてくれただろ。俺の時には」
右の掌を左手の人差し指で指し、クロウは何を言っているのだかとロックオンに笑いかけた。
「だから、あれは…」
「俺の頬をはたいた。あの手が…」続く筈の言葉が、喉の奥に詰まる。
「やっと気づいたみたいだな」渋面のロックオンが、重く呟いた。「俺は、戻って来たまま目を覚まさないお前の頬をはたいただけだ。その前に、お前の体がごろんと現
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