暁 〜小説投稿サイト〜
ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
ホラーイベントのトラウマ率は異常
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は俺をなだめているようにも感じる落ち着いた声だった。やっぱりずっと通訳とかの裏方も頑張ってくれていたせいか、何というか全てに貫禄がある。

 ーーキャー!まじでゴーストタイプのあの感じ最高!無機質だけど芯があるとことかサマヨール独自のあの硬さもそうだしゆっくり動くあの目玉だって……

 おっと危ない危ない。状況を考えろ、状況を。
 ホヘーと安心感からかFXで有り金全部溶かしたような顔になってしまったが、首を振ってふりきる。
 今、実際には現状は変わっていない。
 幾らゴーストの癖に硬いサマヨールでも、相手はユウレイ。まあおそらくゴーストタイプというくくりで良いだろう。タイプ相性ではお互いが効果抜群という稀有なものだ。油断は許されない。

「サマヨール、気ィ抜くなよ」
「ヨール」

 油断なくユウレイを見つめる。
 その時だった。

 ーーピリリリリリリリ!

「ぬおわっ」

 おっとぉ……ビックリしたぁ……何だってんだこんな時に。
 と思って恨みがましくポケベルの画面を覗く。

「え、エニシダ?」

 電話の通知を知らせる欄にはエニシダの名前。……まったく。空気を読まない登場の仕方だ。
 しかし今は相手に出来る状況でもないので切っておくことにする。

「さぁて……サマヨール。こんな言葉を知ってるか?」
「ヨル?」

 例えば草むらで目当てのポケモン以外のポケモンと遭遇した時。取る選択肢は大抵の場合一つだろう。
 つまりは、

「逃げるが勝ちってな!」

 そうして俺はサマヨールに『くろいまなざし』を命じた。
 逃げるの卑怯って?
 バカ言っちゃいかん。相手はモノホンのユウレイだぞ。
 それにユウレイの後ろにいると思っていたハルカの姿が見えないことから、おそらくこの場から逃げ出したということが予想される。きっとこのフロアで逃げ続けているのだろう。あのユウレイを目撃したのなら怖くなって今頃泣いているかもしれない。

「行くぞサマヨール!」

 サマヨールをボールに戻し必死の全力疾走を敢行。
 くろいまなざしの効果が持続している間は追いかけてくることはない……はず!たぶん!
 その間に少しでも距離を稼いで撒かなければ!
 身体を思いっきり捻ってモンスターボールのスイッチを押し、兄貴もボールに戻す。アニメ準拠の赤い線が伸び、無事に兄貴をボールに戻すことに成功する。
 そのことに安堵しつつ、全力で腕を振る。意外に広いフロア内を駆け抜けると、今度はダンボールが乱立する小さな部屋に出た。もうはじの方まで来てしまったのだろう。もう道はこの一本だ。

 ここで……この倉庫内に入るのは完全に死亡フラグだとお分かりだろうか?

 ホラー系のものでは狭い場所に閉じこもった瞬間アウトだ
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