最終話:俺と乞食とその他諸々の日常
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「とのことですがノーマンさん。どうしますか?」
「はぁ……何でも好きな物をやるよ。頑張ったご褒美だ」
まあ、頑張ったんだからそれぐらいしてやってもいいよな。
そう思っていた時期が俺にもあった。
「じゃ、じゃあ……キス…して」
消え入りそうな声でそう告げるジークが何を言っているのか一瞬分からなくなる。
反対に会場は今日一番とも言える盛り上がりを見せてしまっている。
向こうでヴィヴィオちゃんが暴走するアインハルトちゃんを抑えているのが見えるな、と現実逃避している間にジークはキュッと目を瞑ってスタンバイ完了だった。
……これが初めてだよな? 今までやっていないはずだ。
一生の思い出に残るとは思っていたが別の意味でも一生思い出に残りそうなんだが……。
というか、どう考えても公開処刑だな。処刑囚、俺。ははは……笑えない。
「まあ……惚れた弱みだ」
覚悟を決めてジークに近づいて顎を手で優しく上げる。
長いまつ毛と暑さと緊張でピンク色に上気した白い肌が見える。
おまけに切なげに揺れる淡い色の唇がどうしようもなく艶めかしい。
このままだと色々と我慢できなくなりそうなので手早くすませる。
「愛してるよ、ジーク」
「私も……」
二人の唇が重なり会場が割れんばかりの拍手と喝采に包まれる。
……今度はもう少し落ち着いてしたいものだな。
〜後日〜
『次元世界で一番熱いカップル誕生!』
『次元世界一ピュアな恋心を抱いたチャンピオン』
『セコンドと選手の恋愛が今トレンド!』
『インターミドルに参加すれば恋が実る!?』
当然と言えば当然のことか俺達は雑誌やテレビなどで取り上げられまくってしまった。
しかも、運がいいのか悪いのかかなり好意的にとらえられて。
「……ジーク、ハッキリ言うぞ。外に出たくない」
「なんや、お揃いやね。私は一日中部屋におるわ」
「学校に行くたびに『リア充爆発しろ』とか『チャンピオンの旦那』と言われる俺に喧嘩を売っているのか?」
冗談抜きで不登校を引き起こすレベルで辛い。
ジークのように常にフードを被っておくかと真剣に考えている現在である。
「それとお前の親御さんに娘をお願いしますと言われてしまったんだが……」
「私もリヒターの両親に息子を頼むって言われたわ」
『……まあ、気にしてもしょうがない(よね)』
いつかブームは収まるだろう。それに両親に関しては簡単にオッケーが出たのは嬉しい誤算だ。
選び直す気はないので手間が省けたと思っておこう。
ただ気に入らないのは―――
「ご先祖様、毎日メールで『リア充爆発しろm9(^Д^)プギャー』と送って来るおっぱい
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