最終話:俺と乞食とその他諸々の日常
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姑の嫁虐めのようなものだったことを知り怒り心頭だった。
(元々この人格継承は我が息子の為に施したのだ。嫁御が相応しいかどうか調べるのは当然だろう。それに汝は幼いころから見ておるからの、弟のように感じるのだ)
「……全く、勝手な奴だ。もうこんなことするなよ」
(汝が嫁御を捨てん限りは無い)
「愚問だな。ハリーが古文で100点を取る位あり得ないことだ」
結局エクスヴェリナはリヒターの中に残り生活を共にしている。
そのことに思うこともあるリヒターだが人生の半分以上を共にしている相手に弟のように感じると言われて少しこそばゆい表情をする。
だが、サラリと容赦のない言葉を吐くところは変わらない。
「リヒター、リンゴの皮が上手く剥けんのやけどどうしよ」
「別に皮付きでもいいぞ。お前にはそこまで期待していない」
相変わらず戦闘以外では不器用な彼女に失望することもなくむしろ微笑みながら言葉をかけるが当の本人としては気になるらしく難しい顔をする。
「……なぁ、こんな不器用な私で本当によかったん? ミカさんとかハルにゃんの方がよかったとか思わんの?」
「何を今更、俺は他の誰でもないお前が好きなんだ。逆にお前は俺が嫌なのか?」
「そんなわけないやん。大好きや!」
「なら、何も問題は無いだろ。俺もお前が大好きなんだから」
そこまで言って自分達が恥ずかしいこと言っていたことに気付いて顔を赤らめさせる二人。
辺りに甘い空気が流れエクスヴェリナはそれを内心ニヤニヤしながら見つめる。
因みにリヒターはこうした状況を何年も続けているのでエクスヴェリナに見られることは諦めている。
せめて分離して実際の姉として過ごしてくれるのなら手の施しようがあると思っているのは秘密である。
「と、とにかくリンゴ食べる?」
「ああ、いただこう」
「はい、あーん―――」
気を取り直してリンゴをリヒターの口に運んでいくジーク。
恥ずかしそうに顔を赤らめるジークが可愛いなと思いながらリヒターも口を開きリンゴを食べようとしたところで病室のドアが開く。
「お待ちください。その役目は妹にお任せください」
「いやいや、ここはお姉さんに任せてもらおうか」
「……何をしに来たんだ、アインハルトちゃんにミカヤ」
『看病です(だよ)』
ドアの向こうから現れたのはアインハルトとミカヤだった。
二人は至極当然に看病と言うが下心があるのは間違いなかった。
ジークは警戒したように身を固くしリヒターはまたかとゲンナリとした表情を見せる。
「結構だ、ジーク一人で十分だ。というかいつから聞いていた?」
「覇王イヤーにかかれば聞こえない声はありません」
「盗ちょ……ゲフン、なに通りかかりに聞こえただけさ」
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