最終話:俺と乞食とその他諸々の日常
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うしたらいいのかが分からないのだ。
(いいか、これ以上ジークを傷つけるというのなら自爆するぞ)
「くっくっく、それは楽しみだな。ところでだ、我が子孫よ。少し周りを見てみたらどうだ」
(何…だと?)
言われて周りを見てみると観客からは生暖かい視線。
ジークは真っ赤な顔でこちらを見つめてきている。
リヒターの思考は恥ずかしさのあまりおかしくなった。
(今から自爆システムを起動します。カウント10、9,8、7―――)
「本当に自爆できるん!? 待って、私を置いて逝かんといて!」
「冗談に決まっとろうが、落ち着かんか嫁御よ」
「よ、嫁御!?」
まさかの自爆に焦るジークを面白そうに弄るエクスヴェリナ。
だが、未だに剣は放さずにジークの一挙一動に目を光らせているのは流石といった所だろう。
騒いでいる間にリヒターが正常に戻ったのか普通に話しかけてくる。
(と、とにかくだ。ご先祖様は俺が抑えるからお前はもう戦いから手を引け)
「……その必要はないで」
(何言っているんだ、ジーク。お前の傷つく姿なんて俺はこれ以上見たくない!)
「でも、ご先祖様倒さんとリヒターは戻れんのやろ?」
(それはそうだが……)
戦いをやめろという言葉を拒絶し構え直すジーク。
そして中に居るリヒターの心すら見通すような真っ直ぐな目でエクスヴェリナを見つめる。
彼女もそれに応えて笑みを浮かべると共にサーベルを高々と振り上げる。
「それに―――好きって言葉は真っ直ぐ見つめて言って貰いたいんよ」
(ジーク……)
「何も心配せんでええよ。ずっと知りたかったことを知れたから私は絶好調や。誰にも負ける気ーせんよ」
(……まったく、馬鹿かお前は。でも、俺はそんなお前が好きだよ)
「私もそうやって許してくれるリヒターが好きやで」
どこまでも素直な言葉にリヒターは仕方のない奴だとどこかできの悪い子供を見るような気持ちになりながら諦める。
そんな子供っぽい彼女に惚れた自分も十分馬鹿だと思いながら。
「最後の惚気は終わりか?」
「ふん、これが終わったらずっとイチャイチャするんや。さっさと倒させてもらうで」
「ほう、それは楽しみだな。ならば我も全力で迎え撃とう」
瞬間エクスヴェリナの周囲の空気が揺らぐ。それは濃密な殺気。
以前のジークであればそれに触れただけでエレミアの神髄を発動させてしまっていただろう。
だが、今の彼女にそれは無い。死への恐怖を想い人を助けたいという気持ちが上回っていた。
命の危険を感じる能力をそれ以上の強い意志で抑え込む。
これも愛の為せる力なのかもしれないと彼女は考える。
「ご先祖様には頼らへん。私だけのエレミアをこ
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