最終話:俺と乞食とその他諸々の日常
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シリアスブレイカーの復活によりほのぼのとした空気になりかけたがそんなことはさせないとばかりにエクスヴェリナが立ち上がる。
しかし、リヒターが抵抗しているためかどこか動きが鈍い。
苛立たし気にエクスヴェリナは怒鳴り声を上げる。
「やめんか愚か者! 貴様は神聖な決闘を愚弄する気か!?」
(はっ、知ったことじゃあないな。卑怯者とでも外道とも言えばいい)
「ええい! 何故ここで邪魔するのだ! 折角汝には痛みがいかぬ様に意識を封じておいてやったというものを」
会話を続けながらも油断なくジークの動きに目を光らせるエクスヴェリナ。
ジークもそれに気づいているために迂闊に動くわけにはいかずに黙って構えるだけだった。
リヒターはそのためかジーク達に念話が届いているとは思っていない。
(なぜ邪魔をするかだと? そんなことは簡単だ。そもそも俺はご先祖様になら体を貸し出してやってもいいと思っていた。だから今まで反抗らしい反抗はしてこなかった)
(ならばなぜここで?)
(大抵のことは大目に見てやるつもりだった。だが、今回だけは別だ。ご先祖様は俺を怒らせた)
(……汝らしくないな)
念話であるにもかかわらずビリビリと威圧感が伝わって来る声でリヒターは話していく。
その余りにも普段とは違う様子にさしものエクスヴェリナも動きを止めて聞き入っている。
他の者も言わずもがなだ。
(当たり前だ! ―――惚れた女を傷つけられて平気な男が居るわけあるかッ!!)
念話であっても特大の声で言ったのが分かる声がジークの脳を揺らす。
惚れた女? 誰の? リヒターの?
傷つけられた? 誰に? 誰が?
そこまで考えて声にならない声が零れる。
脳がようやく理解するリヒターは自分のことが好きだと言ったのだと。
(ご先祖様の誇りがどうした。この行いが恥ずべき行為だったとしても構わない。
ジークを傷つける事だけは絶対に認めない! 俺はあいつのことが好きだから!)
「くっく……怖かったのではないか?」
(確かに最初は怖かった。だが、一緒に過ごすうちにあいつの無邪気さに惹かれた。寂しそうな目をどうにかしてやりたくなった。ただ笑顔を見せて欲しかった。ああ、最近になって自覚するなんてどうかしていた。俺はずっと前から―――あいつを愛していたんだ)
一度堰を切られたら簡単に水が止まらないように止まることなくジークへの愛を語っていくリヒターにエクスヴェリナは笑いを咬み殺しながら促していく。
そして横目でジークを確認していることからもジークにも言葉が伝わっているのを知っての確信犯だ。
一方のジークは止まらないラブコールに腕の痛みも忘れて顔を真っ赤にする。
普段の扱いが雑な分こうした扱いをされるとど
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